2022 Fiscal Year Annual Research Report
盗葉緑体性渦鞭毛虫類における無機窒素同化機構とその進化の解明
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20K15853
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| Research Institution | Kobe University |
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Principal Investigator |
大沼 亮 神戸大学, 内海域環境教育研究センター, 講師 (80756825)
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| Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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| Keywords | 盗葉緑体 / 渦鞭毛藻 / クリプト藻 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
藻類は捕食栄養性だった祖先種と取り込んだ光合成性生物との細胞内共生によって誕生したとされる。しかし、捕食栄養性から細胞内共生を経て藻類化する進化過程には不明な点が多い。本研究は真の葉緑体を獲得する前の進化段階であると考えられる盗葉緑体性渦鞭毛藻類Nusuttodinium spp.を主な対象とし、葉緑体を一時的に維持する機構を解明することを目的とした。明暗に応じたトランスクリプトーム解析の結果、捕食に近い盗葉緑体現象を示すN. poecilochroumは硝酸輸送体、硝酸還元酵素の遺伝子群が発現していないのに対し、真の葉緑体に近い現象を示すN. aeruginosumではそれらの遺伝子群が明期で発現上昇することがわかった。最終年度は異なる窒素源におけるトランスクリプトーム解析を行った。N. aeruginosumの硝酸還元酵素はクリプト藻からの水平転移によって獲得されたものであり、細胞外の窒素源応じて発現が変動することも明らかとなった。さらに、本種の窒素同化に関連する遺伝子群の発現は、藻類や植物に見られる遺伝子発現パターンと共通しているものもあり、これらの遺伝子群の転写制御は永続的な共生に至る前にも獲得されうることが示唆された。また、宿主のトランスクリプトーム解析の結果から、窒素源を与えていない条件で発現が低下する（窒素源があるときに発現上昇する）アミノ酸輸送体の遺伝子があることが明らかとなった。このアミノ酸輸送体は、共生体が同化したアミノ酸を、共生体から宿主へ輸送するために働いている可能性があることが示唆された。
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