2021 Fiscal Year Research-status Report
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20K15857
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
藤本 心太 東北大学, 生命科学研究科, 助教(研究特任) (40779758)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 超微細構造 / 形態学 / 走査型電子顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、クマムシ類(緩歩動物門)の中でも頭部感覚器官の形態的多様性の高いことで知られる、異クマムシ綱海産クマムシ類について、その頭部感覚器官の超微細構造を観察・比較することで、形態進化とその要因の解明を目指している。 2020年度に、目的達成のために超薄連続切片を透過型電子顕微鏡で観察するよりも走査型電子顕微鏡の反射電子観察することの方が適しているとわかり、その条件探索(試料の樹脂包埋方法など)と技術習得を行った。この条件に従い、2021年度は海産クマムシ類1種の頭部感覚器官(感覚毛と棍角)の超薄連続切片観察を中心に研究を進めた。その結果、これまでクマムシ類でその内部の詳細が不明であった、化学受容器官とされる棍角の超微細構造に関する情報が得られたことは特筆に値する(論文執筆中)。また近縁な陸産科1種と別科の海産クマムシ類1種の棍角の超薄切片観察も行った。海産クマムシ類には、本研究でこれまでに観察したものと棍角の形や数の異なる分類群が知られていることから、頭部感覚器官の進化を理解するためには、観察する分類群を増やしていき、それらの系統関係も合わせて研究していく必要がある。 超薄連続切片の観察で1個体の観察・データの整理に要する時間が膨大であったことなどから、補助期間の1年延長を申請した。形態を比較するための基礎ができ、頭部感覚器官の内部のどこに注目すべきかわかりつつあるので、今後は観察時間の短縮が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
補助期間の1年延長という事態に陥ったことから「遅れている」と自己評価した。しかし得られた成果自体は非常に重要なもので(海産クマムシ類の棍角の内部構造)、これを基礎(比較対象)として2022年度の研究を実施することで、目的達成に大きく近づいていけると考えている。 研究が遅れている要因は二つあり、その一つはコロナ禍である。本研究は、試料採集と電子顕微鏡観察(勤務地にないため)で、外出を伴うため、研究を進めることのできない時期があった。もう一つの要因は、海産クマムシ類が小さく透明で、切片作製のため樹脂包埋すると、実体顕微鏡下でもほとんど確認できなくなってしまうことにある。薄切する向きや位置の詳細を把握できず、余分に薄切して必要な切片を電子顕微鏡下で同定することになり、効率が悪い。
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Strategy for Future Research Activity |
観察する分類群を増やしていきたいが、1個体の観察に膨大な時間がかかることが判明したため、観察対象を特に重要と考えられる分類群に絞っていく予定である。
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Causes of Carryover |
電子顕微鏡観察とそのデータの解析・整理に予想を上回る膨大な時間を要したこと、試料採集が不十分であることなど、研究が遅れている。 電子顕微鏡観察、試料採集、分子系統学的実験などにかかる費用に使用する。
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