2023 Fiscal Year Annual Research Report
山地性トカゲ類の進化・集団動態から迫る熱帯の高い種多様性と過去の気候変動の関係性
Project/Area Number |
20K15869
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Research Institution | Natural History Museum and Institute, Chiba |
Principal Investigator |
栗田 隆気 千葉県立中央博物館, その他部局等, 研究員(移行) (00738841)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 種多様性 / ボルネオ島 / マレーシア / 有鱗目 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はロングリードシーケンサーによるPelturagonia属トカゲ類のゲノムデータの取得およびCnemaspis属ヤモリ類の追加調査と形態的・遺伝的分析を実施した. 前者についてはボルネオ島マレーシア領サバ州に生息するPelturagonia cephalumを対象に約90ギガバイトのロングリードデータを得た.生データはN50が約10,000bpとなった.今後,前年度までに得られていたショートリードデータと統合して,より品質の高いドラフトゲノム情報を構築する予定である.後者については同サラワク州の砂岩性山地で現地調査を行い,未記載の可能性が高い1個体群を発見した.本個体群ならびに既知種について形態的・遺伝的分析を行い,今回発見した個体群が未記載種であることを確認できたので,記載論文を準備・投稿した. 本研究では,研究期間全体として,(1)トビトカゲ亜科トカゲ類における卵生から胎生への進化が樹上性で緩慢な動きを持つ複数のグループで独立して進化したことを示し,生息環境による卵生から胎生への進化の制約がグループ特異的な行動様式によって軽減された可能性を指摘した.(2)トビトカゲ亜科Pelturagonia属に9系統が含まれることを明らかにし,うち4系統が未記載種であることを明らかにした.(3)本属のうち,高標高地に生息するPelturagonia cephalumのドラフトゲノムデータを構築した.(4)ボルネオ産Cnemaspis属ヤモリ類に11系統が含まれ,そのうち4系統が未記載種であることを確認した.このうち,(1)については国際学術誌上で論文として発表済みである.
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