2022 Fiscal Year Annual Research Report
全ゲノム解析から明らかにする古代日本人の親族構造:古墳時代の埋葬墓について
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20K15885
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
神澤 秀明 独立行政法人国立科学博物館, 人類研究部, 研究主幹 (80734912)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 古代DNA / 古墳時代 / 血縁推定 / 核ゲノム / ミトコンドリアゲノム / 埋葬原理 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度は、昨年度までに14体のミトコンドリアゲノム分析が完了した千葉県木更津市諏訪谷横穴古墳群について、核ゲノム分析の可能な検体を選出し、次世代シークエンサによるシークエンスとデータ解析を実施した。これまで、諏訪谷の人骨のDNAが良好であることはわかっていたが、核ゲノム分析まで行えた個体は1体のみに限定されていた。本年度は新たに8体について、核ゲノム解析を実施した。解析に際し、新たなDNAライブラリの作成や全ゲノムを対象としたターゲットエンリッチメントを実施することで、古代人ゲノムの効率的な解析を目指した。最終的に、核ゲノムのカバー率が1.4~80.7%、平均深度が0.02~4.22xのデータが得られた。5個体でY染色体ハプログループが決定され、内訳は縄文人に由来するとされるハプログループDが4体、大陸からの渡来系集団に由来するとされるハプログループOが1体であった。昨年度のミトコンドリアゲノムに基づく解析では、血縁を除く5系統の全てが渡来系集団に由来するハプログループであったことから、それとは矛盾する。常染色体における血縁関係や縄文要素の割合などは現在解析中であるが、これらの貴重なデータから、同一埋葬墓及び隣接する埋葬墓に埋葬された人骨間の血縁関係や、当時の人骨の遺伝的な背景が明らかにできると期待される。その他、昨年度の段階でDNA分析を行うための試料を選出していたが、予定通りに実験を進めることができなかった。
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