2020 Fiscal Year Research-status Report
日本人高齢者における骨粗鬆症とサルコペニアの生理的多様性と相互関連の解明
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20K15888
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
水上 諭 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 助教 (20814502)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 骨粗鬆症 / 骨量減少 / サルコペニア / 体組成 / 身体機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
長崎県在住住民38名(男性8名、平均年齢40.0±28.3歳、女性30名、平均年齢61.8±17.0歳)を対象に骨健康指標、体組成、身体機能のデータを収集した。 骨健康指標として、2波検出型超音波骨密度計LD-100(応用電機株式会社)を使用し、超音波により、海綿骨密度・皮質骨厚・海綿骨弾性定数を計測した。骨量減少(海綿骨密度のYoung Adult Mean (YAM)<80%)を有している者は男性3名(37.5%)、女性19名(63.3%)であった。皮質骨厚の平均は男性4.6±0.8mm、女性3.0±0.9mmであった。海綿骨弾性定数の平均は男性3.6±0.8、女性2.9±0.4であった。 体組成は、Inbody430を使用し、筋肉量を測定した。四肢筋肉量を身長の2乗で除し、Appendicular Muscle Mass Index (AMI)を算出した。AMIの平均は男性7.7±0.6 kg/m2、女性5.9±0.5 kg/m2であった。 身体機能は握力、10m歩行時間、椅子立ち上がり時間を測定した。10m歩行時間から歩行スピードを算出した。握力の平均は男性36.8±7.8kg、女性22.5±5.4kgであった。歩行スピードの平均は男性1.4±0.3m/秒、女性1.4±0.2秒であった。椅子立ち上がり時間の平均は男性6.7±3.0秒、女性7.3±2.5秒であった。 Asian Working Group for Sarcopenia (AWGS)によるアジア集団のサルコペニア診断基準より、歩行速度が毎秒0.8m未満、または握力が男性26kg未満、女性18kg未満、または椅子立ち上がり時間が12秒以上の者で、AMIが男性7.0kg/m2未満、女性5.7kg/m2未満の場合をサルコペニアとした。本研究対象においてサルコペニアと診断された者は男女それぞれ1名、4名であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、R2年、R3年の2年間で地域在住高齢者200名の骨健康指標、体組成、身体機能のデータを収集する計画であった。しかし、R2年より続く新型コロナウィルスの世界的大流行の影響を受け、日本でも緊急事態宣言の発動、ならびに密集・密接・密閉の3蜜回避の運動が広まった。特に高齢者は重症化しやすいということから、不要不急の外出や人が集まる場所に行くことや人との接触を避ける生活様式が定着した。これによりデータ収集を行う予定であった対象が減少し、計画通りのデータ収集を行うことが困難であった。
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Strategy for Future Research Activity |
R3年度は3密(密集・密接・密閉)を守り、考えうるコロナ対策を十分に行ったうえで、地域住民を対象とした測定会を実施する。できる限り測定会の回数を増やし、高齢者の参加を呼び掛ける。年代別の骨量・筋肉量の変化や骨粗鬆症とサルコペニアとの関連を統計学的に検討する。
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Causes of Carryover |
R2年度は新型コロナウィルスの影響で、参加予定であった学会は中止となり、重ねてデータ収集が計画通りに遂行することが困難であった。そのため次年度使用額が生じた。R3年度はデータ収集のための測定会の開催を増やす計画をしている。そのための人件費等が必要である。
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