2020 Fiscal Year Research-status Report
マウス言語知覚野の探求:超音波発声に応答する皮質領野
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20K15896
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
山岸 達矢 新潟大学, 医歯学系, 助教 (50804580)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 超音波発声 / 求愛歌 / 聴覚野 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は雄マウスが雌マウスに対して歌う求愛歌に対する聴覚中枢の反応領野を解析し、ヒトでいうところの言語知覚野に相当する大脳皮質がマウスにも存在するか調べることである。初年度の年次計画では雌の尿のにおいをかがせて雄の超音波発声を録音し、音源を作成し複数のマウスで予備実験を行い超音波発声に応答する神経活動が得られるかを確認することである。 雄のC57BL6/Jマウスにメスの尿の匂いを嗅がせたときに発する求愛歌(50-80kHzの周波数を多く含む超音波発声)を録音し、C57BL6/Jマウスの求愛歌として典型的な周波数変化の特徴を持つ部分を抽出し音源作成を行った。超音波発声を再生するスピーカー環境、音圧の調整もすでに終えている。ただ、当初片側のみを想定していたフラビン蛋白蛍光観察は、雄の求愛歌に応ずる皮質反応の半球優位性も併せて検証するために両側の聴覚野を同時測定するシステムを構築し、両側同時測定に必要なレコーダーソフトと解析ソフトの新規開発を企業に委託して行っている。そのソフトの開発がまだ途上であるためまだ安定したデータは収集できていないのが現状であるが、予備実験データとしてはオスメスそれぞれ3匹の生データを測定、解析済みである。雄マウスの求愛歌による聴覚刺激に対して聴覚野の中の周波数地図をもたないDorsal anteriorという領域を中心とした大脳皮質の反応がみられているが、これが超音波発声に特異的な反応なのかどうかはまだ不明である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度の進捗状況としてはやや遅れが生じている。初年度年次計画に含まれていた超音波発声の録音、刺激音源としての調整、フラビン蛋白蛍光イメージングの手技習得は十分にクリアできているものの、撮像ソフトおよびイメージング画像解析ソフトの開発に時間を要しており、予備実験データの収集が不十分であるからである。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは再現性のある予備実験データを収集することが最優先課題である。雄雌各個体の反応領野の再現性、左右差の有無、雌雄の差の有無などをイメージング画像解析ソフトを用いて解析を行う。また、各個体で5kHz,20kHz,40kHz,60kHzの周波数マップも測定し、Dorsal anterior領域が超音波発声に特異的な領野であることの裏付けをとる必要がある。
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Causes of Carryover |
既述した外部企業に作成を依頼しているイメージング画像撮像ソフトおよび解析ソフトの購入や機能の追加、バグ修正に伴うアップロード費用に充てる。 また、マウスの繁殖も進めており、新潟大学動物舎への管理費用の支払い額が今後増加してくる(100000円/月前後)ことが予想され、次年度使用額を使って賄う予定である。
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