2022 Fiscal Year Annual Research Report
小腸粘膜内神経ネットワークの構造とその形成過程の解明
Project/Area Number |
20K15902
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
万谷 洋平 神戸大学, 農学研究科, 助教 (30724984)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 腸管神経系 / 電子顕微鏡 / 組織学 / 腸管 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,serial block face走査型電子顕微鏡(SBF-SEM)を駆使した組織学的解析により,「小腸粘膜内には,どのような神経ネットワーク構造が存在するかについて形態学的,組織学的に解明すること」を第一の目的とした。さらに,「発生過程においてその神経ネットワーク構造が形成されるプロセスを明らかにすること」を第二の目的とした。小腸の粘膜内神経ネットワークを解析した結果,腸絨毛頂部では複雑に分岐する神経ネットワーク構造が形成されることが示された。神経線維の接触する細胞種を定量すると,腸絨毛頂部において線維芽細胞様細胞(FBLC) type III,FBLC type IV,マクロファージ様細胞への接触が豊富に観察された。以上のことから,小腸粘膜内神経ネットワーク構造の特徴を超微形態学的に網羅的に解明できた 次いで,盲腸および下行結腸における粘膜内神経ネットワークについても解析したところ,下行結腸のとくに内腔側において,盲腸よりも複雑な神経ネットワーク構造が発達することが示された。神経線維の接触する細胞を解析したところ,その主要な接触細胞は,両部位ともに上皮下FBLC,lamina propria FBLC,マクロファージであった。以上の結果から,大腸内の粘膜内神経ネットワークには,部位間での普遍性と相違点が存在することが示された。 粘膜内グリア細胞(mEGC)についても,各種グリアマーカーに対する免疫組織化学とSBF-SEM解析を行った。その結果,小腸,盲腸,下行結腸間において,mEGCの局在部位と,その細胞が形成する被鞘構造には部位差が存在することが示された。 以上の通り,SBF-SEMを用いることにより,小腸および大腸における粘膜内神経ネットワークの構造の特徴が電子顕微鏡レベルで明らかになった。
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