2022 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanistic analyses how arginine methylation drives cerebellar development
Project/Area Number |
20K15913
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
橋本 美涼 岐阜大学, 応用生物科学部, 助教 (80805424)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アルギニンメチル化 / PRMT1 / 小脳 / 発達異常 |
Outline of Annual Research Achievements |
小脳は、運動機能を司るとともに認知機能・情動の制御も担うことが知られる。その小脳機能を担う神経細胞のうち顆粒細胞は、主に生後の脳で顆粒細胞前駆細胞(GCP)が活発に増殖・移動し機能的な顆粒細胞へ分化することで発達していく。GCPの増殖はShh(ソニックヘッジ・ホッグ)シグナル及び下流の転写因子群による制御が重要であると考えられており、さらにこれら転写因子群が様々な翻訳後修飾を受けることがわかりつつあるが、修飾がGCP増殖やその後の発達に与える影響はよくわかっていない。 申請者はこれまでに、脳特異的なアルギニンメチル化酵素・PRMT1の欠損がGCP増殖異常を誘導し、マウス小脳形態を著しく乱すことを見出していたことから、PRMT1がGCPの発達を制御している可能性を考えた。そこで本研究では、①GCP特異的PRMT1欠損マウスの作製・解析、②GCP内メチル化基質同定・機能解析により、PRMT1が担う小脳発達制御の仕組みを解明することを目的とした。 最終年度である本年度は、前年度に作出したGCP特異的PRMT1欠損マウスの表現型解析をさらに進め、PRMT1がGCPの増殖と移動に重要であることを見出した。特に、Atoh1-CreによりPRMT1が欠損される吻側部位において尾側よりも、野生型マウスと比べて顆粒細胞の密度が有意に低下していた。また、GCP特異的PRMT1欠損マウス小脳からtotal RNAを抽出し、小脳発達に重要な遺伝子の発現をqRT-PCRで調べた。その結果、自閉症患者で変異が多く見つかっておりGCP発達を制御する遺伝子Chd8(クロマチンレギュレーター)がPRMT1欠損小脳で50%程度低下していることがわかった。さらに網羅的に遺伝子発現変化を知るため、現在RNA-seqでの解析を進めている。②のメチル化基質の同定は完了できなかったが今後継続して進めていく。
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