2020 Fiscal Year Research-status Report
視床下部神経系の軸索誘導・伸長機序の解明:マウスES細胞器官誘導系における検討
Project/Area Number |
20K15917
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
河田 美穂 藤田医科大学, 医学部, 助教 (90761601)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ES 細胞 / 軸索誘導 / 視床下部 / 下垂体 |
Outline of Annual Research Achievements |
視床下部には成体神経幹細胞が存在しているが、そこから新生した視床下部神経がどのようなメカニズムで目的脳領域まで軸索を伸長するのかは明らかとなっていない。申請者らは、マウス ES 細胞から分化誘導した視床下部神経系を成体脳へ移植すると目的脳領域へ軸索が伸長することを確認した (論文投稿準備中)。そこで本課題では、この実験系を用いて視床下部神経系の軸索誘導・伸長機構の解明を目指す。特に、視床下部-下垂体系の軸索ガイダンス機構の解明を目的とする。視床下部から下垂体へ軸索が誘導されるメカニズムとして下記の3つの仮説が考えられる: (1) 下垂体が軸索誘導因子を放出する。(2) 視床下部神経自身が軸索誘導因子を発現し、自身の軸索を伸長する。(3) 既存の視床下部神経が軸索誘導因子を放出し、新生した神経の軸索を下垂体へ誘導・伸長させる。本年度は、(1), (2) の仮説について検証した。まず、成体脳と下垂体組織の共培養を行なった結果、下垂体への軸索伸長は観察されなかった。次に、マウス ES 細胞由来視床下部神経系と成体下垂体組織との共培養を行なったが、下垂体方向特異的な軸索伸長は見られなかった。以上のことから、下垂体が軸索誘導因子を放出することや視床下部神経自身が軸索誘導を行う可能性は低く、仮説 (3) として挙げた、既存の視床下部神経系が軸索誘導因子を放出し新生した神経の軸索を下垂体へ誘導する可能性が高いことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
成体の視床下部-下垂体系の軸索誘導メカニズムとして可能性の高い仮説を見出すことができたが、まだ予備的な結果しか得られておらず十分な実験的証明ができていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
マウス ES 細胞由来視床下部神経と内在性視床下部神経を共培養し、成体視床下部で起こる神経新生とその後の軸索伸長を再現する実験系を確立する。免疫組織化学的解析、分子生物学的解析を行い、視床下部-下垂体系の軸索誘導・伸長に関与する因子を探索する。
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Causes of Carryover |
予備実験に予想以上の時間がかかり未使用額が生じた。そのため、2021年度予算として、必要物品の購入に使用する。
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Research Products
(2 results)