2022 Fiscal Year Research-status Report
非定型口腔顔面痛における病態と三環系抗うつ薬治療の脳構造・機能的な作用機序の解明
Project/Area Number |
20K15923
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
田村 誠志 群馬大学, 医学部附属病院, 医員 (50846243)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | functional MRI / nociplastic pain / 痛覚変調性疼痛 / 非定型口腔顔面痛 / 三環系抗うつ薬 / 脳科学 / 持続性特発性歯痛 / PIDAP |
Outline of Annual Research Achievements |
従来「心因性疼痛」と呼ばれていた痛みが近年の脳イメージング技術の発達により、「脳内で痛みを過剰かつ過敏に認知するようになってしまった病態」の痛み だと判明し、新たに提唱された「非器質的疼痛」の病態を解明するため、また「非器質的疼痛」に対する三環系抗うつ薬の脳構造・機能的な作用機序の解明のた め、典型的な「非器質的疼痛」疾患である非定型口腔顔面痛を対象とした研究である。非定型口腔顔面痛患者群の治療前後のMRI(functional MRIを含む)、心 理 検査等のアンケート結果と健常対照群のそれを比較する。患者群と対照群の比較により非定型口腔顔面痛の病態特異的な脳構造・機能ネットワークを抽出し、 患者群の治療前後の比較によりその変化を観察する。先行研究から、非定型口腔顔面痛に関して前頭前野における下行性抑制系の減弱が示唆されていること、 「非器質的疼痛」の類縁疾患である過敏性腸症候群患者に三環系抗うつ薬であるアミトリプチリンを投与し前帯状皮質の活動を抑制する結果が示されていること から、非定型口腔顔面痛の病態は前頭前野の異常興奮にあること、三環系抗うつ薬による治療を通して、その異常興奮が正常化する仮説を検証する。そして非定 型口腔顔面痛の病態、それに対する三環系抗うつ薬の作用機序を解明することで、「非機能的疼痛」全体の病態や治療機序を考察する端緒とすることを期待して いる。 2020年度には患者群20例以上のMRIとアンケートのdataを集積した。 2021年度には健常群26例のMRIとアンケートを集積し一部解析を行った。2022年度には解析を完了した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
患者群については当初の予定通りに進捗は概ね順調であった。 健常群はCOVID-19流行により、当初病院内に健常被験者を入れ検査機械を使用することに対して慎重であったため開始が遅れた。また、臨床業務の負荷が増したここにより解析も遅れたが、2023年度内に完了し論文化する見通しである。
|
Strategy for Future Research Activity |
非定型口腔顔面痛においての抗うつ薬治療過程における脳画像解析を用いた研究は、文献調査をする限り、本申請研究が初めてであるが、脳における三環系抗うつ薬の作用効果部位は大うつ病において先行研究がある。治療前後で前頭葉と辺縁系を結ぶ機能的ネットワークが増加するという仮説を検証し、治療により病態が抑制されたことを示唆できる。 結果については今年度中に学会発表および論文化する予定である。
|
Causes of Carryover |
COVID-19流行により学会参加ができなかったこと、dataを集めている病院への訪問ができなかったことなどが理由として挙げられる。 dataが揃い、解析が進んでいること、海外渡航に関しても緩和されている状況であることから積極的に海外での学会発表を予定していく。そのための費用および英文校正等の論文作成費用のために使用する予定である。
|