2021 Fiscal Year Research-status Report
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20K15925
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森川 勝太 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 特任研究員 (00855207)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 先天的行動 / 扁桃体 / 情動 / 防御行動 / In vivo カルシウムイメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
先天的行動は、動物の学習や経験に依存せずに認められることから、遺伝的に保存された特定の神経回路によって駆動されると考えられる。この現象を説明するために、外界からの感覚入力を起因とした特定の神経回路の活性化が生じるとされる Labeled line仮説が提唱されているが、その詳細なメカニズムは明らかとされていない。そこで、本研究では、先天的行動を生じさせるモデルとして、マウスに天敵臭を呈示した際の防御行動を用いて、 動物の生存戦略を担う Labeled line 回路の同定を目指す。具体的には、狂犬病ウイルスを用いた神経回路トレーシング、特定神経細胞活動の観察・操作などの複数の技術を組み合わせ、外界入力が特定の神経回路の活性化を誘導し、個体の行動変化を生み出す機構を理解することを目指す。昨年度に引き続き、天敵臭の呈示によって活動を増加させる扁桃体梨状皮質遷移野からのin vivo カルシウムイメージング、および、シリコンプローブ記録によって、コントロール臭と比較して天敵臭が顕著な活動変化を誘導することを明らかとした。また、これらの活動変化が逃避行動と相関する結果を得た。領域対象群としては、嗅内皮質からの記録を行った。また、扁桃体梨状皮質遷移野へと接続する上流領域として、grueneberg ganglionに着目し、扁桃体梨状皮質遷移野に投射する嗅球僧帽細胞への線維連絡の同定を行った。さらに、レーザーマイクロダイセクション法を用いることでgrueneberg ganglionで高発現する遺伝子をRNA-Seqによって網羅的に同定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
In vivo カルシウムイメージングによって、複数個体からの扁桃体梨状皮質遷移野から十分なデータを得ることができ、シリコンプローブ記録によって、これらを裏付けるより詳細な電気生理学的データを取得できたため。また、当初計画していた以上の成果として、RNA-Seqによるgrueneberg ganglion細胞の網羅的遺伝子解析も実施できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度までに得られたデータの解析を進めつつ、扁桃体梨状皮質遷移野の活動阻害実験やgrueneberg ganglionからの入力を遮断した際の行動変化への影響に対する検証を中心に進める。grueneberg ganglion細胞特異的な発現が予想される候補遺伝子を複数同定したため、grueneberg ganglion細胞にCre酵素を発現させる遺伝子改変マウスの作成を行う予定である。
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Research Products
(6 results)