2022 Fiscal Year Research-status Report
Membrane potential dynamics underlying hippocampal theta oscillations
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20K15926
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松本 信圭 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 助教 (40803143)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 海馬 / シータ / 膜電位 |
Outline of Annual Research Achievements |
シータ振動は、空間ナビゲーションやレム睡眠時に出現する海馬の特徴的な局所場電位の一つである。局所場電位は、シナプス電流や活動電位などの多ニューロンイベントをあらわしていると考えられている。しかし、シータ振動と複数の神経細胞の膜電位を直接関連付けたin vivoの研究はこれまでなく、局所場電位が複数の神経細胞の膜電位から予測できるかどうかは不明なままである。今回、覚醒または麻酔下のマウスにおいて、最大3つのCA1野錐体細胞を同時にパッチクランプし膜電位の記録と局所場電位の記録をおこない、シータ波に着目して解析を進めた。 生体動物の複数のCA1野錐体細胞の膜電位と局所場電位を直接比較することにより、細胞外および細胞内のシータ振動の時間的相関を精査した。その結果、シータパワーと周波数の観点から、海馬CA1野錐体細胞の膜電位のシータ振動は互いに、また局所場電位のシータ波と緩やかな相関があることがわかった。これらの相関は解剖学的な位置関係では説明できず、機能的にコヒーレントなネットワーク活動によって生じたと考えられる。この考えに基づき、機械学習の手法を用いて、3つの錐体細胞の膜電位のシータ振動の波形から局所場電位のシータ波の波形を予測できることを実証した。局所場電位は通常3つ以上のニューロンの活動を反映していることから、この結果は、多くのニューロンが同時に部分的に相関のあるシータ振動(膜電位)を生み出しており、この緩やかな同時性が海馬のシータ状態を構成し、結果、局所場電位のシータ波として実験的に捉えられることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は研究計画が予想よりも進み、論文として発表することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、他の帯域についても解析を進めるとともに、局所場電位ならびに膜電位が生後の発達に応じてどのように変化していくかを探っていく。
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Research Products
(2 results)