2021 Fiscal Year Research-status Report
自発的な運動開始に関与する皮質ー皮質下ネットワークの解明
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20K15927
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
寺田 晋一郎 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 助教 (40847274)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | システム神経科学 / 脳計測科学 / パーキンソン病 / 2光子イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は自らの意思に基づき運動を開始することができる。随意的な運動の開始に先行して起きる脳活動は準備電位と呼ばれ、人における自由意志との関連なども含めた広範な研究がなされてきたが、その発生機構については未だに不明な点が多い。パーキンソン病患者では自発的には運動開始が困難だが、外発的な刺激に対しては比較的頑健に運動開始が可能であることが知られており、自発的と外発的という二つの運動開始手法を比較することで、自発的な運動開始に果たす機能についてより明確に明らかにすることが出来ると考えられる。 両者の比較を実現するため、頭部を固定したマウスにおいて自発的なレバー引き課題および外発的なレバー引き課題を1つのセッション内で同時に観察できる系を構築した。これまでの2光子および1光子によるマルチスケールカルシウムイメージングにより、運動野の中でも高次領域に相当するM2が運動開始信号の差異をマウスにおいてもよくコードすることを見出した。M2における課題依存的な活動を形成する上流の候補として、自発的な運動開始に重要な役割を果たすことが臨床、および基礎研究の両者から考えられているドーパミンが考えられ、その関与について明らかにする実験を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ドーパミンについて生体内で光計測する系の立ち上げを行った。遺伝学的にコードされた ドーパミンセンサーとしてはGPCRをベースとしたdLightについてアデノ随伴ウィルスを用いて神経細胞への発現を確認した。実際に行動中の個体においてその輝度変化が確認されたが、カルシウムセンサーと比較し、その変化量は小さいため、特に運動中の個体を対象とする場合、体動もしくはヘモダイナミクスによる変化によるアーチファクトとの区別が重要となることが明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
多色観察が可能なファイバーフォトメトリー系について作製したため、そちらを用いた体動等によるアーチファクトの補正を進めるとともに、光遺伝学による操作により行動およびM2の課題種別特異的な集団神経活動との因果的な関係性について明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
フォトメトリーを進める中で、条件検討の必要性が生じたため、実際の課題遂行時のデータセットの取得において必要な消耗品類の計上が遅れた。次年度使用額は翌年度分と合わせることでそれらデータ取得を進めるとともに、光遺伝学実験に必要なレーザーの購入へと当てる。
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