2020 Fiscal Year Research-status Report
Synthesis of Photo-active Ligand
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20K15948
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
中島 誠也 千葉大学, 大学院薬学研究院, 助教 (70802677)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 光反応 / 可視光 / TD-DFT / 遷移金属 |
Outline of Annual Research Achievements |
可視光を利用した光反応について2つの研究に取り組んだ。 可視光照射によるアルキニル化反応の開発を行った。可視光、触媒量のベンゾフェノン、超原子価ヨウ素を用いることで、エーテルおよびアミドのC-H結合を直接アルキニル化できることを見出した。本研究成果は、以下の学術雑誌に掲載された。 “Visible-Light-Induced Direct S0→Tn Transition of Benzophenone Promotes C(sp3)-H Alkynylation of Ethers and Amides”, Matsumoto, K.; Nakajima, M.*; Nemoto, T.* J. Org. Chem. 2020, 85, 11802-11811.
続いて、可視光を吸収可能な配位子を合成することで、金属を可視光により効率的に活性化し新しい反応の開発に取り組んだ。まず、TD-DFT計算によりどのような配位子が可視光の吸収が可能か計算を行った。様々なリガンド分子、およびそのパラジウム錯体について最低励起一重項状態に至る吸収波長を予測したところ、可視光吸収が可能なリガンドのデザインに成功した。遷移金属錯体が可視光を十分に吸収可能であることが示唆されたため、続いて、リガンド分子の合成検討を行った。その結果、目的物の合成に成功した。実際にパラジウム錯体とし、吸収スペクトルを測定したところ、可視光領域に吸収帯を有しており、計算による予測との整合性を確認した。続いて、可視光を用いる遷移金属触媒反応に取り組んだ。現在までにいくつかの反応において、熱では困難、または高温が必須な反応を、可視光照射化室温にて進行させることに成功している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請した研究計画通りに研究遂行ができているため。 すなわち、可視光により活性化可能なリガンドのデザインを、TD-DFT計算によってヴァーチャル上で行い、ある程度当たりをつけた上で実際にリアルでの合成に取り組んだ。とりあえず作ってみるという、無鉄砲なやり方ではなく、狙い撃ちで効率よく可視光吸収型リガンドを合成することに成功した。また、合成したリガンド分子は、400 nm以上の可視光領域に吸収波長を有することが実際に確認でき、計算による予測と良い一致を示した。さらにパラジウムと混合することで、可視光を効率的に吸収可能な、遷移金属錯体の形成に成功した。 このように、理論と実験を効率的に組み合わせることで研究計画通りに研究を遂行することができた。今後は、合成した可視光活性型金属錯体の反応性を確認する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに、可視光吸収型リガンドの合成には成功しているため、本リガンドを用いる可視光反応の開発に取り組む予定である。具体的には、可視光を用いる、クロスカップリング反応や酸化反応を試みる予定である。 クロスカップリング反応は、ヨウ素や臭素を有する基質で行うことが一般的である。しかしながら、近年、光を用いることで塩素や、芳香環を有さない基質でのクロスカップリングが可能になりつつある。それらの反応を開発した可視光活性型リガンドによっても達成可能かを検討する。また、一般的な酸化反応は2電子の授受による機構が多いものの、生体内における酸化反応では1電子の授受による機構が多い。可視活性型遷移金属触媒は1電子による酸化還元の機構を取っているため、生体内での酸化反応を模倣した新たな光酸化反応の開発を行う予定である。
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Research Products
(1 results)