2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of novel cholesterol synthesis modulators that alter stability of cholesterol-biosynthetic enzymes
Project/Area Number |
20K15949
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
大金 賢司 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 講師 (30771092)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | コレステロール合成経路 / スクアレンモノオキシゲナーゼ / タンパク質の安定性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、コレステロール合成経路の重要な酵素の一つであるスクアレンモノオキシゲナーゼ(SM)に関して、その安定性に影響を与える低分子化合物の探索を目指すとともに、このSMの安定性変化という現象の応用を目指している。 昨年度には、オキシステロール類についてSMの分解を誘導する活性について調べ、ステロールの部分構造の有無により分解誘導活性が変化することなど、基本的な構造活性相関を調べた。今年度は、活性が明確であったあるオキシステロールに着目し、その誘導体を合成し、N末端制御ドメインを介した分解活性の評価を進めた。また、概して誘導体の溶解性が低く、活性評価に問題があったことから、溶解性の改善を目指した新規ステロールの合成も進めた。現在のところ、構造の違いによる活性の有無はあるものの、リードとしているオキシステロールと同程度の活性にとどまっており、高活性化には至っていない。また、溶解性の向上した誘導体については、活性がなくなることがわかり、分解誘導に特定の構造が必要なことをサポートする結果であった。 また、触媒ドメインの安定化が阻害剤の濃度依存性におこる現象は、細胞内のスクアレン蓄積により起こるN末端制御ドメインの安定化と同様の濃度域で起こることを確認した。SM阻害剤による触媒ドメインの安定化作用は、SM阻害剤とSM触媒ドメインの結合に依存していることをサポートする結果であった。この現象がSM触媒ドメインへの化合物の結合検出に利用できる可能性が一層強まった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
やや遅れていると評価した。理由は、まず第一に想定以上にリード化合物の活性が向上しない点が挙げられる。活性の有無は見えるが、低濃度から作用する化合物が得られていない。また、活性評価に用いている細胞の状態が悪くなっており、得られるデータの質が低下している点が課題となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
分解誘導活性の向上は、ステロールが直接的に結合してSMの分解を誘導するという仮説に基づくものである。この仮説自体は、現時点では否定も肯定もされていない。間接的な作用である場合は、何が分解の引き金を引く本体か興味深い。活性評価系の状態については、時間はかかるものの、安定発現細胞を再度作成することが解決策として考えられる。 SM阻害剤による触媒ドメインの安定化現象については、新しい原理の細胞レベルでのスクリーニング系としての応用が期待できる。引き続き、この実験系の特性の調査を進め、有用性の検証を進める。
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Causes of Carryover |
本年度はじめに機関の異動があった。異動先では初年度のため大学院生はおらず、学部学生のみとなり、研究の進展は当初の計画より緩やかとなった。また、異動後には改修工事による引越しがあり、本年度は仮住まいの実験室での研究活動となったため、実験停止期間や行えな実験が生じた。以上の理由より、次年度使用額が生じた。 次年度使用額は、遅れた分の実験に必要な消耗品に使用する。また、年度はじめには改修工事が終了予定であることから、引越し後、必要な研究環境の整備を進め、実験に取り掛かる。
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Research Products
(3 results)