2020 Fiscal Year Annual Research Report
三次元化合物の統一的合成を指向した電荷シフト結合の自在な切断・生成法の開発
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20K15950
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金澤 純一朗 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 特任助教 (60844636)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | [1.1.1]プロペラン / ビシクロ[1.1.1]ペンタン / シクロデキストリン / 三次元多環式化合物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、電荷シフト結合の切断・生成の自在制御により、創薬化学において重要な三次元化合物についての統一的合成法の開発を目指している。 昨年度は、ビシクロ[1.1.1]ペンタン (BCP) 骨格に対する電荷シフト結合の生成反応を開発することで、その原料である [1.1.1]プロペランの新たな調製法を開発した。具体的には、1)ジヨード BCP を 2 分子の α-シクロデキストリンで包接化 (カプセル化) することで、安定な試薬として取り扱うことを可能とし、2) 脱カプセル化と、それに続くジヨード BCP の脱ヨウ素化反応による電荷シフト結合の生成反応を開発することで、穏和な条件下、幅広い溶媒中でオンデマンドに [1.1.1]プロペランを調製することに成功した (Angew. Chem. Int. Ed. 2021, 60, 2578.)。これまで、低沸点かつ高度に歪んだ電荷シフト結合に由来する高い反応性を持つ [1.1.1]プロペランの調製法は限定的であった。従来法は、高活性な有機金属試薬が必要であり、ジエチルエーテルなどの限定された溶媒中でのみ調製可能である点に大きな課題を残していた。今回開発した調製法は、有機金属試薬を必要とせず、プロトン性/非プロトン性/極性/非極性と幅広い溶媒中での [1.1.1]プロペランのオンデマンドな合成を初めて可能にした。さらに、2 分子の α-シクロデキストリンによるカプセル化は、様々な BCP 化合物に対して適用可能であり、揮発性/昇華性/反応性がある BCP 化合物を安定で取り扱い易い粉末試薬として使用することを可能にした。 今回開発した電荷シフト結合の生成反応を様々な三次元化合物に適用し、これまで開発した電荷シフト結合の切断を伴う多官能基化反応と組み合わせることで、これまで合成困難であった三次元化合物の統一的な合成を目指す。
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Research Products
(6 results)