2020 Fiscal Year Research-status Report
Development and Application of New Chemical Modification of Proteins Based on Spacial Control
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20K15957
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
寄立 麻琴 九州大学, 薬学研究院, 助教 (70843788)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | タンパク質 / 抗体 / 位置選択的修飾 / リジン修飾 / ADC |
Outline of Annual Research Achievements |
タンパク質の位置選択的修飾反応の開発は、抗体薬物複合体(ADC)、タンパク質の蛍光ラベリングなどの様々な応用分野が存在するため、重要な課題である。中でも、官能基選択的修飾法の開発はこれまでに多くの手法が報告されているものの、その位置選択的修飾反応は開発の余地を残している。タンパク質と強いアフィニティーを持つリガンド分子を足がかりとして、その近傍の求核性アミノ酸などを修飾するアフィニティーラベリングが有力な手法の一つである。しかし、強力なアフィニティーが必須であることや、結合数が少ないことから、多数の医薬品を抗体に結合させたいADCなどには不向きである。このため、本研究では多数の官能基を同時にかつ位置選択的に修飾する手法の開発を目的とした。
上記目的を達成するため、リジンを配向基とするリジン選択的な官能基課反応をはじめの開発課題とした。2-アリールピロリジン誘導体の開環反応によるベンジル位の置換反応によりリジンを捕捉し、近傍に存在するリジンをマイケルアクセプターでトラップする計画である。ベンジル位置換反応によりタンパク質との可逆的共有結合を形成した例はないため、本素反応の検討より研究を開始した。アミンを脱離基とするベンジル位置換反応は、オルト位にヒドロキシ基を有するベンジルアミンを塩基性条件下加熱することで達成できることが判明した。しかし、タンパク質修飾にこの過激な条件は利用できないため、アミンの脱離を補助する芳香環上の置換基の選択が重要であることがわかった。 現在ヒドロキシ基やメトキシ基を芳香環上に有するベンジルアミンの汎用的な合成法を検討中であり、今後はアミノ基の導入やインドールなどの電子豊富なヘテロ芳香環のベンジル位置換反応を中心に可逆的共有結合形成反応を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
COVID-19の蔓延により、九大薬学部ではCOVID関連研究を推進したため、新たな治療薬の開発およびワクチン開発の基盤研究に取り組むこととなった。 この様な状況の中、僅かな期間で、当初予定していた可逆的共有結合形成能を示す候補分子の合成を試みた。わずかに合成できた2-アリールピロリジン誘導体で共有結合形成試験を行った結果、原料を回収するのみであり、NMR実験でも共有結合の形成は確認できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの設計では、五員環の開環閉環平衡を狙っていたが、開環体に全く平衡が偏らない事が問題であると考えた。このため、当初の予定より以下の2点を変更した新たな分子設計を立案した。すなわち、六員環または七員環の開環閉環平衡により平衡反応を制御する、ピペリジンまたはアゼパン系の骨格を利用する。また、窒素原子の脱離を促進するため、オルト位にヒドロキシ基またはアミノ基を導入し、キノンメチド型の活性種の発生を駆動力として共有結合を形成する計画を立てた。以上の計画を元に、2021年度は本テーマへのエフォートを増やす事で研究を推進する。
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Causes of Carryover |
本年度はコロナウイルスの影響で研究に支障が出たため、消耗品の購入が少なかった。また、当該研究に従事する時間短かったため、2021年度はエフォートの改善に努める。
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Research Products
(25 results)