2020 Fiscal Year Research-status Report
慢性疾患の早期病態解明を指向したキラルバイオマーカーイメージング法の開発
Project/Area Number |
20K15972
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
杉山 栄二 静岡県立大学, 薬学部, 助教 (90806332)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 質量分析 / イオンモビリティースペクトロメトリー / キラル / イメージング / 誘導体化 / ジアステレオマー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、誘導体化法とイオンモビリティースペクトロメトリーを用いた質量分析イメージングによりキラルな代謝物の分布を可視化する新たな分析法の開発を目的としている。本年度は、DL-2-ヒドロキシグルタル酸と一部のDL-アミノ酸を対象に種々の誘導体化法を適用し、イオンモビリティースペクトロメトリーでの分離に適する条件を探索した。まずDL-2-ヒドロキシグルタル酸を対象に誘導体化法やイオンモビリティースペクトロメトリー装置の種類を最適化し、各光学異性体を分離することに成功した。この分離法を質量分析イメージングに応用し、ランダムに配置した各光学異性体の分布を捉えることにも成功した。また、分離度およびイオン化効率の向上が期待できる新規誘導体化試薬をデザイン・合成し、狙い通りの反応が進行することを確認した。次に、アスパラギン酸を始めとする4種のDL-アミノ酸を対象に、種々の誘導体化試薬を用いて計75種のジアステレオマー誘導体を調製し、それぞれから生じる4種あるいは5種のイオンを解析した。その結果、特定の誘導体化試薬とイオン種を選択することに加え、イオンモビリティースペクトロメトリーで用いるバッファーガスに改良を加えることで、全てのDL-アミノ酸を良好な分離度で検出することに成功した。他のアミノ酸についても同様の誘導体化反応が進むことを確認しており、現在その解析を進めている。以上の成果の一部は関連学会にて発表された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り、キラルな代謝物のイオンモビリティースペクトロメトリーによる分離に適した誘導体化試薬を特定することに成功し、質量分析イメージングへの応用が可能であることを確認できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
新たに合成した誘導体化試薬を含め、他のアミノ酸等の分離条件検討を行う。また、動物組織上での誘導体反応とイオン化補助剤塗布の条件を最適化し、組織中に含まれる光学異性体の分布解析法を構築する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大の影響により旅費に必要な費用が減じたため。次年度必要となる化学合成に係る費用や実験動物の購入・飼育費等の他、論文投稿料等として使用する予定である。
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