2021 Fiscal Year Annual Research Report
外部刺激応答性非ラメラ液晶形成脂質含有リポソームによるsiRNAの体内動態制御
Project/Area Number |
20K15973
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Research Institution | Josai University |
Principal Investigator |
板倉 祥子 城西大学, 薬学部, 助教 (20787387)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 非ラメラ液晶形成脂質 / ナノDDS / 刺激応答性 / がん治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
癌治療DDSとしてリン脂質をベースとするナノ粒子が汎用されているが、血中滞留性と腫瘍への集積後の癌細胞との相互作用の両機能をあわせもつ薬物送達システムの開発は未だ困難な課題である。そこで、生体膜と高い相互作用をもつ非ラメラ液晶形成脂質とラメラ構造を形成する脂質を組み合わせ、外部刺激(温度上昇)を用いることで、腫瘍ピンポイントで薬物送達を制御可能なナノ粒子の開発を目的とした。 2021年度は、構築した温度感受性ナノ粒子について、マウス乳癌細胞株(4T1細胞)を用い、細胞との相互作用の促進効果および内封薬物(ドキソルビシン塩酸塩)の細胞内への送達について評価した。さらに、4T1細胞を皮下移植した担癌マウスを作製し、構築したナノ粒子を投与後、近赤外光(980 nm)を照射し、抗腫瘍効果を評価した。その結果、非ラメラ液晶形成脂質を組み合わせたナノ粒子を添加した4T1細胞で細胞死が誘導された。ドキソルビシン塩酸塩を内封したところ、温度の上昇により細胞内への送達が促進した。さらに、担癌マウスに静脈内投与後、980 nmレーザーを照射した腫瘍において、腫瘍成長抑制効果が得られた。 これらのことから、構築したナノ粒子は非ラメラ液晶形成脂質を組み合わせることで、従来のラメラ形成脂質からなるナノ粒子に比べて、温度の上昇に伴う内封薬物の細胞内への送達の促進と腫瘍成長抑制効果が発揮された。外部刺激を用いた薬物送達キャリアーとしての有用性が期待できる。
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