2022 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the mechanisms of bortezomib resistance in multiple myeloma and strategies to overcome them
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20K15978
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Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
高橋 知里 同志社女子大学, 薬学部, 特任助教 (70833680)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 多発性骨髄腫 / ボルテゾミブ / メタボロミクス / プロテオミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
多発性骨髄腫は、骨髄中の形質細胞が悪性化した難治性の造血器腫瘍である。プロテアソーム阻害剤ボルテゾミブはその治療におけるkey drugであるものの、治療不能及び治療中の耐性獲得が問題となっている。しかし、薬剤耐性機構はこれまでの遺伝子解析では十分に解明し得ておらず、新たな切り口での解析が求められている。ボルテゾミブ&デキサメタゾン療法(BD療法)治療前の多発性骨髄腫患者の血清中の脂質分子種を測定したところ、エーテル型ホスファチジルコリン分子種の発現量が治療奏効性と有意に相関していることを見出している。本年度は、骨髄腫細胞株KMS-11およびそのボルテゾミブ耐性株を用いてプロテオームおよびメタボローム測定を行うにあたり、細胞数、破砕条件、濃縮率等の検討を行った。細胞を破砕後、Bligh&Dyer法にて脂質を抽出した。抽出後、濃縮を行い、外標準物質を加えて測定サンプルとした。ヒト血清中に存在量の多いホスファチジルコリンやホスファチジルエタノールアミン等の脂質分子種に関しては、用いた細胞数に関わらず十分なピークエリアを検出することができた。また、前年度に測定系を構築したヒト血漿中での存在量の少ない(エーテル 型ホスファチジルコリン(ePC)、エーテル型ホスファチジルエタノールアミン (ePE)、アシルカルニチン等の脂質分子種の測定系においても、PCやPE等の脂質分子種と同量の試料量から検出が可能であることを確認した。また、ヒト血清サンプルでは検出が難しいPSなどの脂質分子種に関しても細胞試料を用いた場合は検出できることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
落雷による停電の影響でボルテゾミブ耐性骨髄腫細胞株を用いたプロテオームおよびメタボローム測定に使用する質量分析計の故障等により実験が中断されたため遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きボルテゾミブの感受性に係るシグナル変動をボルテゾミブ耐性細胞株の網羅的な探索より同定することを目標とするとともに、多発性骨髄腫患者のボルテゾミブ治療前の血清中脂質と治療効果との比較から、ボルテゾミブ不応性を示した患者の血清中で不飽和脂肪酸含有ホスファチジルコリン(usPC)とエーテル型ホスファチジルエタノールアミン(Ether PE)がボルテゾミブ感受性に与える影響について評価する。
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Causes of Carryover |
研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため当初の見込み額と執行額は異なったが、研究計画に変更はなく、前年度の研究費も含め、当初予定通りの計画を進めていく予定である。
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