2023 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of the mechanisms of bortezomib resistance in multiple myeloma and strategies to overcome them
Project/Area Number |
20K15978
|
Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
高橋 知里 同志社女子大学, 薬学部, 助教 (70833680)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 多発性骨髄腫 / ボルテゾミブ / メタボロミクス / プロテオミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
形質細胞のがん化により引き起こされる多発性骨髄腫では、脂質合成が盛んであり、脂質はその治療薬である分子標的薬の奏効性を予測するバイオマーカーとしても注目されている。 今年度はボルテゾミブの耐性機序に重要なシグナル伝達経路を明らかにするため、ボルテゾミブ耐性を示すヒト骨髄腫由来細胞株KMS-11/BTZとその親株からBligh & Dyer 法により総脂質を抽出し、189種類の脂質分子種について超臨界流体クロマトグラフィー/質量分析計(SFC/MS)を用いて測定し、薬剤耐性に関連する脂質分子種を探索した。また、同試料のプロテオーム測定を行った。 KMS-11/BTZとその親株サンプル中に含まれるリン脂質等を定量し、耐性株で発現が有意に高レベルな26種、および低レベルな12種の脂質分子種が見いだした。耐性株において、acyl Carの含有量が減少していた。また、網羅的プロテオミクス解析の結果、耐性株では、親株と比較して、CPT1A(Carnitine O-palmitoyl transferase 1)が高レベルに発現していた。 CPT1Aは、細胞質中のacyl CoAのカルニチンへの転移を触媒し、acyl Carとしてミトコンドリアマトリックスへと輸送する。本結果から、耐性株ではacyl Carを消費する代謝経路が亢進しているのではないかと考えられる。これにより、耐性株が特有の脂質プロファイルを有する可能性が示唆された。 また、ボルテゾミブの作用機序には、プロテアソーム阻害による小胞体ストレス誘導およびその応答機構が深く関与しているが、小胞体ストレスに関連するタンパク質発現が耐性株で有意に減少していた。これにより、小胞体ストレス応答の抑制が耐性機序に関連している可能性が示唆された。
|