2021 Fiscal Year Annual Research Report
新規リン脂質sn-1位導入リゾリン脂質アシルトランスフェラーゼ群の機能解析
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20K15984
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川名 裕己 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 特任助教 (40846672)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | リゾリン脂質アシル基転移酵素 / 脂肪酸リモデリング / リン脂質sn-1位 / ステアリン酸 / 網膜変性 / ゼブラフィッシュ / 精子形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
sn-1位導入リゾリン脂質アシルトランスフェラーゼ(LPLAT)として見出した新規分子の欠損体から見出された表現型に関して詳細な検討を行った。LPGAT1はこれまでにC18:0(ステアリン酸)を含有リン脂質の形成に重要な役割を持つ分子として解析を進めてきており、欠損マウスや欠損ゼブラフィッシュにおいて複数の表現型を見出してきた。 ①LPGAT1欠損マウスの解析:初年度(令和2年度)までにLPGAT1欠損マウスは進行性の網膜変性を示すことを見出した。第二年度(令和3年度)はこの網膜変性の進行過程に関して詳細に解析した。欠損マウスの網膜変性は網膜細胞層の形成異常ではなく網膜細胞層が形成された後に網膜外層の桿体細胞が選択的に細胞死を起こし、網膜層の変性が生じていることが明らかとなった。欠損マウスの網膜では桿体細胞の脱落が生じる前段階からステアリン酸含有リン脂質の低下がLC-MS解析とMS-imaging(質量分析イメージング)解析で明らかとなった。これらから網膜においてステアリン酸含有リン脂質は桿体細胞の生存に必須なリン脂質であることが明らかとなった。 ②LPGAT1欠損ゼブラフィッシュの解析:LPGAT1によるステアリン酸含有リン脂質形成の進化的重要性を検討する目的で欠損ゼブラフィッシュを作製した。欠損ゼブラフィッシュ個体は出生可能であったが生後徐々に個体数が減少し、性成熟可能な個体を得ることはできなかった。また、ヘテロ欠損個体を解析するとオス個体において精子に異常をきたし、正常に受精できる受精卵数の低下が観察された。これらのことからゼブラフィッシュにおいてステアリン酸含有リン脂質形成に寄与するLPGAT1の機能が精子や生体の恒常性の維持に必要であることがわかった。
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[Journal Article] Abnormal male reproduction and embryonic development induced by downregulation of a phospholipid fatty acid-introducing enzyme Lpgat1 in zebrafish2022
Author(s)
Shibata T, Kawana H, Nishino Y, Ito Y, Sato H, Onishi H, Kano K, Inoue A, Taketomi Y, Murakami M, Kofuji S, Nishina H, Miyazawa A, Kono N, Aoki J.
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Journal Title
Scientific reports
Volume: 12
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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