2020 Fiscal Year Research-status Report
炎症性腸疾患の病態形成におけるムチン糖鎖硫酸化の意義
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20K15986
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
安保 博仁 千葉大学, 大学院薬学研究院, 助教 (80868050)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 糖鎖 / 腸管免疫 / 腸内細菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
炎症性腸疾患は 腸管において過剰な炎症が持続する難治性疾患であり、腸管上皮細胞のバリア機能の低下が 一つの原因と言われている。特にMuc2ムチンは腸管上皮細胞から分泌され、その糖鎖修飾は腸管上皮のバリア機能において重要な役割を担う。 またMuc2の糖鎖は硫酸化修飾を受けることが知られているが、その硫酸化の生理的意義については不明な点が多い。 そこで本研究では、Muc2糖鎖の硫酸化を触媒する硫酸基転移酵素GlcNAc6ST-2のノックアウトマウスに腸炎モデルを適用し、腸炎の病態形成におけるMuc2糖鎖の硫酸化の生理的意義を明らかにすることを目的とした。 本年度は、GlcNAc6ST-2ノックアウトマウスにDSS腸炎を誘導し解析を行った。結果、GlcNAc6ST-2ノックアウトマウスはWTマウスに比べて腸炎が悪化した。また大腸組織のHE染色を行ったところ、GlcNAc6ST-2ノックアウトマウスでは、より多くの免疫細胞の浸潤が観察された。また、炎症生サイトカインの発現もGlcNAc6ST-2ノックアウトマウスにおいて亢進していた。以上の結果から、ムチン糖鎖の硫酸化は腸炎抑制的に働くことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
GlcNAc6ST-2ノックアウトマウスにDSS腸炎を誘導し、解析を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
DSS腸炎の更なる解析を進める。特に、腸管上皮細胞のバリア機能に着目し、カルノア固定を用いた組織染色を進める。また、腸内細菌叢の解析も行う。
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Causes of Carryover |
予定していた腸内細菌叢解析が次年度にずれたため。サンプルの準備は完了しているため、翌年度に解析を行う準備は整っている。
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