2021 Fiscal Year Annual Research Report
リソソームからのビタミンB12輸送障害の分子機構解明と治療薬開発への応用
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20K15990
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
川口 甲介 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 助教 (80624866)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ABCタンパク質 / リソソーム / ビタミンB12 / メタノール資化性酵母 / プロテオリポソーム再構成 |
Outline of Annual Research Achievements |
ABCタンパク質ABCD4によるリソソームから細胞質へのビタミンB12輸送の分子機構、および遺伝子疾患で見られるビタミンB12輸送障害の機序について解析を行い、以下に示す結果を得た。 ・ABCD4の基質認識部位を解析するために、ABCD4の膜貫通領域を同じファミリー分子であるABCD1と置換したキメラタンパク質を作製し、変異型ABCD4のビタミンB12輸送活性を測定した。その結果、6番目の膜貫通ヘリックスを置換した変異型ABCD4のビタミンB12輸送活性が著しく減少することを明らかにした。さらに変異体を作製し解析を行った。その結果、基質輸送ポア内の細胞質に近い場所に位置する329番目のアスパラギン酸、332番目のスレオニン残基の単独の変異によってビタミンB12輸送活性が著しく減少したことから、これらのアミノ酸残基がABCD4の基質認識に重要なことを明らかにした。また、ポア内部の正電荷の増大がビタミンB12輸送を阻害することも明らかにした。 ・ビタミンB12代謝異常の原因となるABCD4遺伝子の変異は7通り報告されている。これらの変異型ABCD4を作製し、哺乳動物細胞におけるタンパク質発現および細胞内局在を解析した。その結果、N141K,Y319C,R432Qはリソソームに局在化するが酵素としての活性を失っていること、G443-S485delはリソソームに局在化が出来ないこと、D143-181del,E556Gfs,E583Lfsはタンパク質品質管理機構により分解されることにより、リソソームから細胞質へのビタミンB12輸送障害の原因となることが示唆された。
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Research Products
(2 results)