2023 Fiscal Year Annual Research Report
RNA-seq based transcriptome analysis on novel mechanism(s) of learning and memory
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20K15991
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
石本 尚大 金沢大学, 薬学系, 助教 (00843062)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 記憶学習 / 網羅的トランスクリプトーム解析 / 海馬歯状回特異的遺伝子発現抑制 / 神経突起伸長 / 海馬 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度までに食物由来アミノ酸ergothioneine (ERGO)のマウスへの経口投与により、行動試験で記憶学習能力の向上が認められたマウスの海馬における網羅的トランスクリプトーム解析により記憶に関連する候補遺伝子を複数見出した。さらには、血液中に含まれる脳内環境を反映する脳由来細胞外小胞(EVs)における候補分子の発現プロファイルを評価することでヒト脳機能を推測できる可能性を考えた。ERGO含有錠の認知機能改善効果を確認した臨床試験における被験者の血清からEVsを単離し、ある候補遺伝子の産物であるタンパク質Yの発現量をWestern blottingにより評価したところ、偽薬群と比較しERGO群でタンパク質Yの発現量は有意に高かった。さらには、EVs中のタンパク質Yの発現量は、血清中ERGO濃度および認知機能評価試験の一部の評価項目と正の相関を示し、ERGOによるヒトの認知機能改善において、タンパク質Yが関与する可能性、またEVsにおけるタンパク質YがERGOによる認知機能改善の薬効バイオマーカーとなり得る可能性を示唆した。さらに、マウスに対するERGO経口投与によるタンパク質Yの発現への影響をWestern blottingにより評価すると、神経新生が盛んで記憶学習を担う海馬歯状回における発現増加が確認された。さらには、タンパク質YのERGOによる認知機能改善作用における関与を確かめるため、タンパク質Yに対する阻害剤によるERGOによる海馬における神経新生促進作用、記憶学習能力向上作用に対する影響を評価すると、いずれのERGOの作用は阻害剤によって消失した。以上より、ERGOによるタンパク質Yの発現増加に伴う海馬の神経新生および記憶学習能力の促進作用が示唆された。
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