2020 Fiscal Year Research-status Report
「Wall-ome」の萌芽を目指した糸状菌細胞壁ダイナミクス測定系の開発と応用
Project/Area Number |
20K15997
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Research Institution | Tohoku Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
田中 大 東北医科薬科大学, 薬学部, 助教 (00613449)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | Wallome / 細胞壁 / 糸状菌 / Aspergillus fumigatus / ガラクトフラノース |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は、病原性糸状菌Aspergillus fumigatusをモデル真菌とし、細胞壁を蛍光染色した菌体画像を画像解析に供し、細胞壁成分ごとの定量比較が可能かどうか、測定系として確立可能かどうか、という点に重点をおいた。まず、A. fumigatusの細胞壁・細胞外多糖は i) α-マンナン、ii) β-グルカン、iii) キチン、キトサン、iv) ガラクトフラナン、v) α- マンナン、 vi) ガラクトサミノガラクタンから構成される、という一般的なモデルを採用し、それぞれの多糖に選択的に結合するレクチン (ConA、SBA、PNA)、抗体 (抗β1-3グルカン抗体、抗ガラクトフラノース抗体)、蛍光色素 (Calcofluor White、Congo Red) の蛍光色素付加体を用意して、それぞれ各細胞壁成分に結合、染色可能かどうか検討した。その結果、準備したレクチン、抗体、蛍光色素を用いることで、蛍光顕微鏡、共焦点レーザー顕微鏡、Operetta CLS にて、良好に蛍光顕微鏡画像を取得できることがわかった。さらに Operatta CLSで得られた画像では、画像解析ソフトウェア Harmony を利用することで蛍光強度を数値化し、菌糸形態や局在ごとに比較定量することが可能であることがわかった。また、レクチンなどで得られた蛍光は、遺伝的、化学的な細胞壁多糖の欠失あるいは脱離処理によって消失・減弱できたことから、期待される指向性をもって細胞壁多糖-レクチン (抗体) 相互作用が起きている、つまり目論見通りの細胞壁成分を染色できていることが期待された。また、予備実験の結果、いくつかのレクチン、抗体、色素を組み合わせて一度に測定に供することで、多重染色、多重検出、多重比較定量が可能であることが期待できる結果が得られている。次年度は、これをさらに確かなものとしたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画にほとんど遅れはなく、順調に進展している。一方、自治体や大学における新型コロナウイルス感染症対策の一環で、外部(メーカーや、他大学の研究協力者)の方々から得られるはずだったサポートが一部受けにくくなった、あるいは受けられなかった点は予想外であった。とはいえ、全体として大きな遅れはない。研究成果発表も遅滞なく行えており、また今後も行っていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は、i) 複数の細胞壁成分を同時にターゲットにできる多重染色実験系の確立、ii) A. fumigatus 以外の真菌にも適用できるか否かの検討、iii) 菌糸形態、細胞局在を加味した細胞壁多糖定量、動態情報の適当な整理法の開発、iv) 新規薬剤感受性指標の創発 について着手する。また、本研究成果を早期に発信することを目指す。
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Causes of Carryover |
当初、学会参加のための旅費を計上していたが、多くが中止もしくはオンライン開催となったために旅費の一部が不要となったため、余剰が生じた。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Roles of Elm1 in antifungal susceptibility and virulence in Candida glabrata2020
Author(s)
Yuya Ito, Taiga Miyazaki, Yutaka Tanaka, Takashi Suematsu, Hironobu Nakayama, Akihiro Morita, Tatsuro Hirayama, Masato Tashiro, Takahiro Takazono, Tomomi Saijo, Shintaro Shimamura, Kazuko Yamamoto, Yoshifumi Imamura, Koichi Izumikawa, Katsunori Yanagihara, Shigeru Kohno & Hiroshi Mukae
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Journal Title
Scientific Reports
Volume: 10
Pages: 9789
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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