2021 Fiscal Year Annual Research Report
異常な習慣の形成に着目した強迫性障害の病態解明と治療標的探索
Project/Area Number |
20K16009
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
浅岡 希美 京都大学, 医学研究科, 助教 (90826091)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 強迫性障害 / 習慣 / 線条体 / D2受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
繰り返す強迫観念と強迫行為を特徴とする強迫性障害は、薬物治療の奏効率が低く、数十年単位の経過をたどる例も少なくない。有効な治療法開発には病態メカニズムに沿った戦略が重要となるが、現時点では臨床知見を基にした断片的な病態理解に留まっている。本研究では、強迫行為への「とらわれ」の原因として想定されている異常な習慣の形成に焦点を当て、これまでに作製・報告してきたドパミンD2受容体刺激薬の反復投与による独自の強迫性障害モデルマウスを用いて発展的な検討を行った。 上記の強迫性障害モデルマウスで見出した線条体中央部の神経細胞種選択的な可塑的変化が強迫性障害における異常な習慣の形成に関与しているとの仮説の下、分子生物学的、行動学的、電気生理学的手法を用いて仮説の検証および詳細メカニズムの解析を行った。その結果、強迫性障害モデルマウスでは、ドパミンD2受容体刺激により、線条体のドパミンD2受容体発現神経細胞(間接路中型有棘神経)で興奮性シナプスの増強が引き起こされることを見出し、そのメカニズムとしてβアレスチンを介した細胞内シグナルの関与を明らかにした。また、線条体神経細胞に発現する活性酸素産生酵素であるNADPHオキシダーゼ1(NOX1)が、こうしたドパミンD2受容体の刺激を介した線条体のシナプス増強や強迫性障害様の発現に寄与していることが明らかとなった。これらの成果は、国内学会にて発表するとともに、原著論文として国際誌に発表した。
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Research Products
(6 results)