2020 Fiscal Year Research-status Report
ネオ抗原由来mRNAとエクソソームによる個別化医療に資する樹状細胞ワクチンの作製
Project/Area Number |
20K16015
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
坂本 卓弥 金沢医科大学, 医学部, 助教 (40850623)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Exosome / MUTZ3 / MUTZ3-IL-4-DC / MUTZ3-IFN-DC |
Outline of Annual Research Achievements |
MUTZ3細胞から各種サイトカイン(IL-4, IFN-α)を用いてMUTZ3-IL-4-樹状細胞(Dendritic cell; DC)およびMUTZ3-IFN-DCを作製した。MUTZ3-IL-4-DCと比較するとMUTZ3-IFN-DCにおいてDCの収率が有意に増加し、T細胞への抗原提示に関与するCD80, CD86, CD83, CD40, HLA-ABCやリンパ節への遊走に関与するCCR7の発現が有意に増加した(n=5)。各DCの抗原提示能を検証するためにMART-1ペプチドを付加した各種MUTZ3由来のDCとCD8+T細胞を用いたin vitro混合培養試験を実施した。MUTZ3-IL4-DCと比較するとMUTZ3-IFN-DCは、MART-1特異的な細胞傷害性T細胞数を多く誘導した(n=1)。これらの結果からMUTZ3-IFN-DCの方が優れた抗原提示能力を持つ可能性が示唆された。次にMUTZ3-IL-4-DCおよびMUTZ3-IFN-DCから放出されるエクソソームの粒子径をnanosightにより測定を行ったところ、80-120nmの粒子を検出し、エクソソームの指標となるCD9, CD63, CD81の発現を認めた (n=5)。この結果から各DCからのエクソソーム放出が確認された。興味深いことにMUTZ-IFN-DC由来エクソームではMUTZ-IL-4-DCと比較すると、細胞表現型と同様にCD83やHLA-ABCの発現の増加が認められた。これらの結果からMUTZ3細胞において異なるサイトカインを用いて分化させたDCでは、抗原提示能に関連する表現型に差異が認められ、さらに放出されるエクソソームにおいても同様に差が認められたことから、エクソソーム自身の抗原提示能に差が認められる可能性が示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
MUTZ3細胞においてサイトカインの違いにより分化したDCは機能性が異なるエクソソームを放出する可能性がある。機能面で優れているエクソソームを選択することはガン抗原由来mRNAを用いた新規核酸導入法による樹状細胞ワクチンの作製において必要である。したがって現在はMUTZ3細胞由来のDCから放出されるエクソソームの機能評価を継続している。
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Strategy for Future Research Activity |
MUTZ3-IL-4-DCとMUTZ3-IFN-DC由来のエクソソームの機能評価を行う為に、これらの細胞から抽出したエクソソームに対してHLA-A*02:01 MART-1(Melanoma Antigen Recognized by T cells-1)ペプチドを直接付加し、ヒトCD8+T細胞と混合培養を行うことで、フローサイトメトリーによる細胞傷害性T細胞の誘導能を評価する。この結果を元に機能的なMUTZ3細胞由来DCから放出されるエクソソームを選択し、ガン抗原由来のmRNAを組み合わせたDCワクチンの作製を目指す。
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Causes of Carryover |
コロナ禍による県外移動制限、物品納品の延長などにより研究の進捗が少し遅れてしまったため研究の物品使用額・学会発表・論文投稿費等の使用が今年度は少なかった。研究成果は積み上がっているため次年度は論文投稿・学会発表に向けて準備を行い、次の計画であるガン抗原由来のmRNA合成を委託し、エクソソームと組み合わせた樹状細胞ワクチンの作製を行う。研究計画に伴い、mRNAの合成費用・エクソソームの抽出に関連する研究資材・作製した樹状細胞ワクチンの機能評価を行う為に必要な研究資材(FACS抗体、ELISPOTアッセイキット、CTL誘導能評価関連資材、サイトカイン測定のためのBioplex関連資材)の購入費用に当てたい。
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