2021 Fiscal Year Research-status Report
アストロサイトの機能分子を標的とした頭部外傷に対する新規治療薬の確立
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20K16016
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Research Institution | Meiji Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
道永 昌太郎 明治薬科大学, 薬学部, 講師 (60624054)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アストロサイト |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではアストロサイトに発現している機能分子として、これまでにも脳傷害の病態形成に関わることが報告されているイオン透過型受容体であるTransient Receptor Potential Vanilloid 4 (TRPV4)に注目した。流体衝撃を与えることで作製した頭部外傷モデルマウスにTRPV4阻害薬であるHC-067047およびRN-1734を投与したところ、blood-brain barrier(BBB)の破綻が抑制され、脳浮腫も軽減されていた。BBB破綻の原因となる血管透過性亢進因子(matrix metalloproteinase-9, vascular endothelial growth factor-A, endothelin-1)の発現は、頭部外傷モデルマウスの脳内で増加していたが、HC-067047およびRN-1734を投与するとこれらの増加は抑制されていた。 アストロサイト培養細胞および脳血管内皮細胞におけるTRPV4の発現を確認したところ、それぞれの培養細胞でTRPV4の発現が確認されたが、特にアストロサイトにおいてTRPV4が高発現していることが確認された。流体衝撃をそれぞれの培養細胞に与えたところ、アストロサイトにおいてTRPV4の発現が増加した。また、流体衝撃を与えたアストロサイトでは、血管透過性亢進因子の発現が増加したが、HC-067047およびRN-1734を処置すると、これらの増加は抑制されていた。これらの結果より、TRPV4阻害薬はアストロサイトにおける血管透過性亢進因子の発現を抑制することで頭部外傷後のBBB破綻および脳浮腫を抑制できることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度までにタンパク質やcDNAのサンプルを作製することができたので、これらのサンプルを使用して効率よく研究課題を遂行することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究により、ヒスタミンH2受容体が頭部外傷後の活性型アストロサイトにおいて発現していることが確認できており、H2受容体作用薬がBBBの破綻を抑制・修復させる血管修復因子の発現を増加させることが確認できているので、H2作用薬の頭部外傷に対する作用を確認する。H2受容体作用薬であるamthamineやdimapritを頭部外傷モデルマウスに投与して、BBBの破綻や脳浮腫などに対する作用を確認する。
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Causes of Carryover |
輸入製品の納品が年度内に間に合わなかったため、次年度使用額が生じた。
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