2022 Fiscal Year Annual Research Report
アストロサイトの機能分子を標的とした頭部外傷に対する新規治療薬の確立
Project/Area Number |
20K16016
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Research Institution | Meiji Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
道永 昌太郎 明治薬科大学, 薬学部, 講師 (60624054)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アストロサイト / 頭部外傷 / Blood-brain barrier / 脳浮腫 |
Outline of Annual Research Achievements |
流体衝撃傷害を与えることで作製した頭部外傷モデルマウスの脳組織では、エンドセリンETB受容体、transient receptor potential vanilloid 4 (TRPV4)およびヒスタミンH2受容体がアストロサイトにおいて高発現していることが見い出された。ETB受容体拮抗薬(BQ788)、エンドセリン受容体非選択的拮抗薬(ボセンタン)、TRPV4阻害薬(HC-067047およびRN-1734)、H2受容体作用薬(AmthamineおよびDimaprit)を頭部外傷モデルマウスに投与したところ、頭部外傷によって惹起されるBlood-brain barrier (BBB)の破綻および脳浮腫が抑制されていた。また、これらの薬を投与した頭部外傷モデルマウスの脳組織では、BBBの破綻を促進する血管透過性亢進因子の発現増加が抑制され、BBBの破綻を抑制する血管修復因子の発現が増加していた。 流体衝撃傷害を与えたアストロサイト培養細胞に対してETB受容体拮抗薬、TRPV4阻害薬、H2受容体作用薬を処置したところ、頭部外傷モデルマウスの結果と同様、血管透過性亢進因子の発現増加が抑制され、血管修復因子の発現が増加していた。 これらの研究成果より、ETB受容体拮抗薬、エンドセリン受容体非選択的拮抗薬、TRPV4阻害薬、H2受容体作用薬はアストロサイトにおける血管透過性亢進因子の発現増加を抑制し、血管修復因子の発現を増加させることによって、頭部外傷によるBBBの破綻および脳浮腫を抑制できることが示唆され、アストロサイトの機能分子に作用する薬が頭部外傷に対する新規治療薬となり得ることが期待される。
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Research Products
(5 results)