2021 Fiscal Year Annual Research Report
イメージング質量分析技術を用いたOCT-2基質薬物の内耳動態の可視化
Project/Area Number |
20K16017
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
山口 太郎 摂南大学, 薬学部, 講師 (30710701)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 蝸牛 / 質量分析イメージング / 薬物動態 / メトホルミン |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】難聴に適応のある治療薬は現状存在しない。その原因の一つに、全身投与した薬物の内耳内動態の理解が乏しいことが挙げられる。これまでに有機カチオントランスポーター(OCT)-2基質薬物の内耳移行性が高いことを示唆する結果を得ていたが、その詳細は不明であった。本研究では、全身投与したOCT-2基質薬物の内耳内における薬物分布を質量分析イメージング(MSI)により可視化を試みた。【方法】8週齢C57BL/6J雄性マウスにOCT-2基質薬物であるメトホルミン(200 mg/kg)を皮下投与し、投与0.5、1、3時間後に内耳を摘出した。MSIに用いる内耳組織切片作製のため、未固定かつ未脱灰の内耳での凍結切片作製条件を設定した。作製した切片を用いてイメージングMSによりメトホルミンの局在および相対濃度を解析した。相対濃度はメトホルミンを示す130.11 m/zのピーク面積から算出した。【結果】摘出内耳に包埋基剤を注入して作製した切片は、内耳形態は維持されやすいがイオン化阻害が生じたことから、包埋基剤非注入の内耳を用いて切片を作製することとした。MSIの結果から、メトホルミン非投与の切片では130.11 m/zのピークは検出されなかったが、メトホルミン投与後0.5時間の切片において130.11 m/zのピークが内耳各部位で検出された。また、投与1時間後のらせん靭帯および投与3時間後の蝸牛神経節におけるメトホルミンの相対濃度が同時間の他部位と比較して高値であった。投与0.5、1、3時間後の内耳組織全体における相対濃度に著変は認められなかった。【考察】全身投与後のメトホルミンの時間経過に伴う内耳内分布をMSIにより可視化することができた。
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