2022 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪酸合成経路阻害剤MK-8245による抗パラミクソウイルス戦略の開発
Project/Area Number |
20K16020
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
加藤 文博 国立感染症研究所, ウイルス第三部, 主任研究官 (40740816)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | パラミクソウイルス / ムンプスウイルス / 抗ウイルス薬 / 脂肪酸合成経路 / スクリーニング / CD437 |
Outline of Annual Research Achievements |
おたふくかぜウイルスは、流行性耳下腺炎の原因ウイルスである。有効なワクチンは上市されているが、罹患後の治療法は対症療法のみであり、根本的な治療法は確立されていない。また、ウイルス学的に複製や感染に関わるメカニズムはいまだ解明されていないことが多い。本研究では脂肪酸合成経路に着目し、同経路の阻害剤MK-8245の抗ウイルス活性を評価するとともに、そのメカニズムを明らかにすることで、治療法の確立のみならず、ウイルス学的に複製に脂肪酸合成経路がどのように関わるかを明らかにすることを目的とした。初めに、抗ウイルス活性を簡便に評価する系を構築しするために、緑色経口タンパク質GFPを感染と共に発現する組換えムンプスウイルスを用いて、蛍光顕微鏡で蛍光強度を測定した後、画像解析にてその強度を数値化した。統計解析を行った結果、本研究で確立した評価系は十分にウイルス複製を模倣し、簡便に抗ウイルス活性等を評価する系であることが明らかになった。次に脂肪酸合成経路阻害剤MK-8245の抗ウイルス活性を評価したところ、弱いながらも抗ウイルス活性を示した。MK-8245添加時に不飽和脂肪酸を別途供給したところ、ウイルス産生量が元に戻ったことから、ムンプスウイルスにおいても、脂肪酸合成経路が関与していることが明らかになった。一方、他のウイルスと比して、その抑制能は高いとは言えないことから、複製に主としては関わっていない可能性があることに留意が必要である。また、新規に抗ムンプスウイルス活性を有する化合物を、本研究で構築した評価系を用いて高効率スクリーニングを行ったところ、複数のヒット化合物が選抜された。その内、CD437は高い抗ウイルス活性を示し、作用点としてはウイルス複製後期過程に作用点をもつことが明らかになった。
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