2020 Fiscal Year Research-status Report
糸状菌の休眠遺伝子を覚醒するキナ酸を利用した新規天然活性物質の探索
Project/Area Number |
20K16031
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
野中 健一 北里大学, 感染制御科学府, 准教授 (60421369)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 糸状菌 / 二次代謝 / 天然化合物 |
Outline of Annual Research Achievements |
糸状菌培養液サンプルの調整:植物内生糸状菌100株と土壌糸状菌100株を4種類の生産培地(液体培地・固体培地:各キナ酸添加・無添加)で培養し、エタノールで化合物抽出を行うことで糸状菌培養液800サンプルを調整した。 キナ酸の化合物生産に与える影響の評価:上述の培養液のキナ酸の有無による色調変化を調査した。植物内生菌では、液体培地で100株中45株、固体培地では100株中19株において変化が見られた。一方、土壌糸状菌では、液体培地で100株中68株、固体培地で100株中34株において変化が見られた。以上を前研究課題の成果として昨年度報告した。 今年度はキナ酸が糸状菌の2次代謝に影響を及ぼす分類範囲の調査を行うために、上記200株について顕微鏡下の形態的特徴およびITS領域の配列情報に基づき属レベルでの分類を行った。その結果、Eurotium 目に属するAspergillus 属、Penicillium 属、Talaromyces 属、Capnodia 目に属するCladosporium 属、Ramichloridium 属、Pleospora 目に属するCurvuralia 属、Hypoclea 目 に属するAcremonium 属、Beauveria 属、Fussarium 属、Lecanicillium 属、Leptobacillium 属、Metarhizium 属、Pochonia 属、Purpleocillium 属、Tolypocladium 属、Trichoderma 属において影響を与えることが明らかとなった。 次に汎用性の高い培養条件の検討を行うために、既に保有している糸状菌600株を用いてPDB培地で培養液の調整を行い、LC-UV解析で化合物生産性を調査した。これを3回繰り返し、化合物生産性が安定していた6株を選出した。今後、この6株で条件検討を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
キナ酸が影響を及ぼす糸状菌の分類範囲を明らかとするために、昆虫寄生菌類、菌寄生菌類、水生不完全菌類などを伊豆諸島で採取することを計画していた。しかしながら、新型コロナの影響で国内出張が禁止となったため、これらの採集を行うことが出来なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は伊豆諸島に渡航し、昆虫寄生菌類、菌寄生菌類、水生不完全菌類などを200株収集する。分離した200株をキナ酸添加・無添加の液体培地と固体培地の4条件で培養した800ブロスを調製する。これらを当グループで確立した抗細菌、抗真菌、抗原虫など10の評価系でスクリーニングを実施し、キナ酸添加の有無間でのヒット率の比較から有効性を明らかとする。さらに、キナ酸添加で生産誘導された生物活性物質をNMR、MS等で機器分析を行い、構造を決定する。
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Causes of Carryover |
菌類採集を行うための旅費を計上していたが、新型コロナの影響で出張が出来なかったため、当初の計画に変更が生じた。次年度に実施予定である。
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