2021 Fiscal Year Research-status Report
天然物生合成に関与する同一部位多段階酸化型シトクロムP450酵素の反応機構と制御
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20K16034
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
飯坂 洋平 東邦大学, 薬学部, 講師 (40770425)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | シトクロムP450酵素 / 多段階酸化型P450 / 生合成 / マクロライド系抗生物質 / 天然物 / 反応制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度ではまず、大腸菌で発現・精製したRosCを用いた分光学的手法による基質結合様式について検討した。基質添加時のRosCではtype II型のスペクトル変化が観察され、基質の修飾部位に近接する付加糖desosamineのN原子が活性中心に配位していることが示唆された。次に、RosC野生型の立体構造解析に向けた検討では、完全長のRosCを結晶化することは困難であったが、N末端側のアミノ酸残基を削ることで外形上良質な2種類の結晶を得ることができた。得られた結晶のX線回折実験では3.2 Åのデータセットを得たが、明瞭な回折像を得るには至らなかった。また、精製RosCを用いたin vitro反応系において市販の電子伝達タンパク質が有効ではなかったことを踏まえ、P450融合型電子伝達タンパク質をRosCに融合させた酵素の発現系を構築した。この融合酵素は触媒能を有していることが確認できたことから、RosC野生型及び変異型の酵素機能解析に適用できると考えられる。 多段階酸化型P450の反応制御に関しては、我々が確立したRosC変異体の取得方法を応用することで、16員環マクロライド系抗生物質mycinamicinの生合成に関与するP450 MycGの反応を制御することに成功した。機能改変したMycGをmycinamcin生産菌で再構成することで希少な生合成中間体の効率的な生産が可能であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
野生型RosCの結晶化までの工程は計画通り進捗し、外形上は良質な結晶を得ることができたが、目的を達するに十分なX線回折像を得ることができなかった。このため、結晶化条件の見直しを行う。また、RosC変異体の結晶化についても、野生型と同条件では結晶が得られないことが明らかとなり、条件検討を行っている。 酵素機能解析はP450融合型電子伝達タンパク質がRosCに電子伝達可能であることが確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
RosCの結晶化は、従来のシッティングドロップ蒸気拡散法に加え、ハンギングドロップ蒸気拡散法、ストリークシーディングによる条件検討を試みる。また、基質との共結晶構造を取得し、RosCと基質の結合様式を明らかにする。野生型RosCでの結晶構造解析に基づいてRosC変異体の立体構造解析も検討する。酵素機能解析は電子伝達タンパク質融合型RosCのin vitro反応系を確立してRosC野生型と変異型の各基質に対する触媒活性を比較検討する。
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Research Products
(3 results)