2022 Fiscal Year Annual Research Report
天然物生合成に関与する同一部位多段階酸化型シトクロムP450酵素の反応機構と制御
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20K16034
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
飯坂 洋平 東邦大学, 薬学部, 講師 (40770425)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | シトクロムP450酵素 / 多段階酸化型P450 / マクロライド系抗生物質 / 反応制御 / 生合成 / 結晶構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
基質同一部位の3段階酸化反応を触媒するRosCと1段階目の反応のみを触媒するP107S/L176Q変異体の結晶構造解析に取り組んだ。二次構造予測より結晶化の障害になると予測されたN末端側の21アミノ酸残基を除いた野生型RosCと変異体の結晶化条件の最適化を図り、得られた単結晶のX線解析により結晶構造を決定するに至った。決定したRosCの全体構造は他のP450と同様に三角プリズム型の安定なドメイン構造であったが、基質を認識する際の入り口に相当するBC loop領域及びFG loop領域は相対的に温度因子が高く、柔軟性に富むことが示された。また、P107S/L176Q変異体は野生型RosCと比較すると変異部位での構造のゆらぎが大きくなっており、この変異体は基質との結合親和性が低下していると考えられた。 3段階の酸化反応の各基質とRosCの共結晶構造解析を検討したところ、野生型RosCはいずれの基質とも外形上良質な結晶を得ることができた。このうち、3段階目の反応の基質となるrosamicinとの共結晶構造を決定することに成功した。分光光学的解析では、RosCはrosamicinとの結合時にtype II型のスペクトル変化を生じることから、rosamicinの付加糖desosamineのN原子がhemeに配位していると示唆されていた。しかしながら、結晶構造解析の結果はhemeに基質の修飾部位であるC-20位が配位されていた。type II型のスペクトル変化を示すP450がhemeにN原子ではなく基質の修飾部位を配位することを示す新たな知見が得られた。また、P107S/L176Q変異体と各基質との共結晶の取得を検討したが結晶は得られず、単結晶で示された基質との結合親和性が低下している可能性を強く示唆している。今後はRosCと変異体の酵素活性との相関性を検討する。
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Research Products
(1 results)