2021 Fiscal Year Research-status Report
機械学習を用いた従来にない薬剤投与設計アルゴリズムの構築
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20K16035
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
今井 俊吾 北海道大学, 薬学研究院, 助教 (40845070)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 機械学習 / バンコマイシン / 薬剤投与設計 |
Outline of Annual Research Achievements |
機械学習の手法の一つであるDecision Tree(DT)モデルは、フローチャート状の構造を持ち、利用者は各々の変数に関わる条件に対してYes/Noで順次回答していくことで、複数の要因の組み合わせによる相互関係を考慮したイベントの発現割合を簡便かつ定量的に評価可能となる。我々はDT分析の副作用発現リスク推定への応用可能性に着目し、その有用性を明らかにしてきた。一方で、DTモデルは連続変数の予測にも応用可能である。そこで本研究では、これまで薬物動態解析の結果に基づきおこなわれてきた「薬剤投与設計」にDT解析を応用することを試みることとした。 今年度は、昨年度に引き続き協力医療機関(北海道大学病院ならびに砂川市立病院)に赴いて診療情報を収集した。その結果、1,380例の症例数確保に成功した。続いて、日本化学療法学会より、米国のガイドラインに準じた新たなバンコマイシンの投与指針が発表されたことを受け、対象患者の見直しを行った上で、DTモデルを構築していった。具体的には、予測する変数(従属変数)を個々の患者におけるバンコマイシンの至適投与量(実際の投与量と血中濃度から算出する)とし、予測に用いる変数(独立変数)をバンコマイシンの薬物動態に影響し得る患者情報とした。その結果、Tree は24のサブグループに分割し、複数の共変量による影響を考慮した投与設計モデルが構築された。現在、構築された最終モデルの臨床的・統計学的妥当性の評価(内部検証)を実施している。これらの作業終了後は、検証用データを用いて外的妥当性を評価する。このことで、構築されたモデルが臨床応用可能か否かを検証していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今後は3年目(2022年)前半でモデル構築を終え、3年目後半~4年目(2023年)に検証用データを用いたモデルの妥当性評価を行う。概ね当初の計画通りであり、順調な進捗である。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度前半で機械学習を用いた「バンコマイシンの至適投与量予測モデル構築」を終え、年度後半からは検証用データを用いたモデルの外的妥当性評価を実施する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により、出張旅費が大きく削減された。今後は繰越額を統計解析設備の整備ならびに研究成果のOpen Access化のための費用として計上する予定である。
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