2023 Fiscal Year Annual Research Report
機械学習を用いた従来にない薬剤投与設計アルゴリズムの構築
Project/Area Number |
20K16035
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
今井 俊吾 慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 講師 (40845070)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 機械学習 / バンコマイシン / 薬剤投与設計 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、昨年度に構築した「バンコマイシン(VCM)の至適投与量予測モデル」の精度検証をおこなった。モデル検証用データ 161例にモデルを適用した場合、予測される至適血中濃度域への到達割合(AUC 400-600 mg・hr/L)は54.7%であった。この数値は既存のVCM投与設計ノモグラムと比較し良好であった。
研究期間全体を通じた成果は以下の通りである。 本研究では協力医療機関(北海道大学病院ならびに砂川市立病院)に赴いて収集した1,380例の診療情報をもとに、VCMの至適投与量予測モデルを構築した。1,380例中822例を解析対象とし、構築データと検証データが8:2(それぞれ661例ならびに161例)になるようランダムに分割した。モデル構築データを用いた機械学習モデルは、目標血中濃度-時間曲線下面積 (AUC) 500 mg・hr/Lを達成する補正投与量を従属変数とし、年齢、推算糸球体濾過量 (eGFR)、Body Mass Index (BMI) < 18.5 kg/m2、BMI≧25 kg/m2、併用薬を独立変数として決定木分析の手法の一つであるClassification and Regression Tree algorithmを用いて構築した。その結果、最大5回の分岐がなされ、13個の末端サブグループを含む決定木モデルが構築された。それらのサブグループにおける推奨投与量は17.6-59.4 mg/kg/dayであった。上述の通りモデルの予測性精度は良好であったことから、本研究により、機械学習を用いた従来にないVCMの投与設計アルゴリズムが構築されたと考える。本研究で用いたアプローチは多くの薬剤に応用可能であり、医療薬学研究の発展に寄与する新手法としての価値を有すると考える。
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