2020 Fiscal Year Research-status Report
予期せぬ副作用回避のための薬物-胆汁酸相互作用研究:OATP4C1に着目して
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20K16037
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 紀宏 東北大学, 大学病院, 助教 (50770723)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | OATP4C1 / 副作用回避 / 薬物-胆汁酸相互作用 / 肝障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
臨床現場では、肝代謝・胆汁中排泄型薬物は肝機能を、腎排泄型薬物は腎機能を指標に投与設計が行われる。しかしながら、肝機能や腎機能、その他の患者の状態を勘案したうえで投与設計しても、薬物血中濃度上昇による副作用を経験する患者がいる。肝障害時に腎排泄型薬物の血中濃度が上昇することが知られており、腎臓の近位尿細管に発現する薬物トランスポーターの解析が行われてきたが、これまでに肝障害モデル動物等で解析された腎臓の薬物トランスポーターは一部にとどまる。そこで本研究では、腎臓に発現する薬物トランスポーターOATP4C1における、肝障害時の未知の薬物相互作用を評価することとした。本研究では、OATP4C1における遊離型・抱合型胆汁酸と薬物の相互作用を解析すべく以下の項目について検討する。 1) in vitroでは、OATP4C1安定発現系を用いて、OATP4C1の基質薬物取り込みに対する胆汁酸及びその代謝物の相互作用を網羅的に評価する。 2) 相互作用のスクリーニングを行い、その結果、相互作用がある化合物は、IC50値を算出する。 3) in vivoでは、ヒトSLCO4C1トランスジェニックラットを用いて、総胆管結紮による胆汁うっ滞モデルおよび四塩化炭素投与による肝障害モデルを作製して、肝障害時の動物個体において、OATP4C1における薬物-胆汁酸相互作用に基づく薬物動態変動が起こり得るか評価する。 2020年度は、合計45種の相互作用をスクリーニングした。予測していた通り、一部の化合物で相互作用が見られた。相互作用が見られた化合物について、実際に生体で相互作用を引き起こすか評価すべく、相互作用パラメーターのひとつであるIC50値を算出するための検討を開始した。 本研究で得られる成果は、予期せぬ副作用で苦しむ患者を救うための、腎排泄型薬物の投与設計最適化研究に貢献すると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、OATP4C1における遊離型・抱合型胆汁酸と薬物の相互作用を解析すべく以下の項目について検討する計画である。 1) in vitroでは、OATP4C1安定発現系を用いて、OATP4C1の基質薬物取り込みに対する胆汁酸及びその代謝物の相互作用を網羅的に評価する。 2) 相互作用のスクリーニングを行い、その結果、相互作用がある化合物は、IC50値を算出する。 3) in vivoでは、ヒトSLCO4C1トランスジェニックラットを用いて、総胆管結紮による胆汁うっ滞モデルおよび四塩化炭素投与による肝障害モデルを作製して、肝障害時の動物個体において、OATP4C1における薬物-胆汁酸相互作用に基づく薬物動態変動が起こり得るか評価する。 2020年度は、1)の検討で15種の胆汁酸を検討する計画のところ、入手可能な胆汁酸を30種加え、合計45種の相互作用をスクリーニングした。予測していた通り、一部の化合物で相互作用が見られた。これらの化合物について、2)の検討をすでに開始しており、さらに得られる予定のIC50値の考察に向けて、生体の胆汁酸濃度情報の収集を開始した。3)の動物実験を開始すべく準備も開始している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、以下の項目のうち、2)および3)を中心に研究を遂行する。 1) in vitroでは、OATP4C1安定発現系を用いて、OATP4C1の基質薬物取り込みに対する胆汁酸及びその代謝物の相互作用を網羅的に評価する。 2) 相互作用のスクリーニングを行い、その結果、相互作用がある化合物は、IC50値を算出する。 3) in vivoでは、ヒトSLCO4C1トランスジェニックラットを用いて、総胆管結紮による胆汁うっ滞モデルおよび四塩化炭素投与による肝障害モデルを作製して、肝障害時の動物個体において、OATP4C1における薬物-胆汁酸相互作用に基づく薬物動態変動が起こり得るか評価する。 2021年度は、1)の検討で合計45種の相互作用をスクリーニングした。1)の結果、相互作用が見られた化合物について、2)の検討を行う。得られるIC50値の考察に必要な生体の胆汁酸濃度情報の収集を行う。3)の動物実験を開始すべく、必要な動物の個体数を揃え、肝障害モデル動物の作製準備も行う。
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Research Products
(2 results)