2020 Fiscal Year Research-status Report
Identification of blood-brain barrier transporters using sgRNA library
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20K16039
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
荒川 大 金沢大学, 薬学系, 准教授 (40709028)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 血液脳関門 / トランスポーター / スクリーニング / ノックアウト |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】血液脳関門(BBB)の克服は、中枢神経系疾患に対する創薬の最大の課題である。BBBには薬物を積極的に取り込むトランスポーターの存在が多く報告されており、その利用により効率的な薬物の脳内デリバリーが期待されるが、関与するトランスポーター分子の実体は同定されていない。本研究では、独自に構築したsgRNAライブラリーを用い、取り込みに働くタンパク質全てを対象としてスクリーニングすることで、血液脳関門(BBB)取り込みトランスポーターを同定することを目的に研究を行った。 【方法】脳毛細血管内皮細胞の特性を強く有するhCMEC/D3細胞を用い、薬物のトランスポーター介在輸送および細胞毒性を評価した。sgRNAライブラリーを用いたスクリーニングを行うため、レンチウイルスに組み込まれたsgRNAライブラリーをhCMEC/D3 細胞に感染させた。その後、8種の薬物をそれぞれ曝露し、一定時間後にゲノムDNAを回収した。次世代シークエンサーでゲノムDNAに含まれるsgRNAの配列を読み込み、BBB取り込みトランスポーター候補遺伝子を抽出した。 【結果】hCMEC/D3細胞への21種の化合物の取り込みを調べた結果、低分子化合物の中でも比較的分子量が大きい化合物16種の取り込みに温度依存性が観察された。また、そのうち8種の薬物はhCMEC/D3細胞に対して細胞毒性を示し、sgRNAスクリーニングに適用できることが示された。さらに、これら薬物を用いたスクリーニング試験を行った結果、digoxinの排出に働くMDR1が抽出され、本法の妥当性が示された。また、薬物の取り込み活性が期待できるトランスポーター遺伝子として、14種の遺伝子が抽出された。見出された遺伝子のクローニングを行い、発現系を用いて基質認識性試験を実施した結果、薬物輸送活性を持ついくつかのトランスポーターを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
sgRNAスクリーニングを行い、薬物輸送活性が期待されるトランスポーター遺伝子の抽出を行なった。該当遺伝子は全てクローニングが完了し、現在発現系輸送試験による評価を行なっている。また、輸送活性が得られた遺伝子については現在ノックアウトマウスの構築を進行している。これらの結果は当初計画に沿った形で進行しており、概ね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
クローニングした遺伝子による薬物輸送活性の評価を進める。またノックアウトマウス樹立後は、該当遺伝子の薬物の脳内移行における寄与を明らかにする。
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