2023 Fiscal Year Research-status Report
皮膚障害発現機序の解明によるボリコナゾールの至適投与設計法の開発
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20K16041
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
山田 尚広 浜松医科大学, 医学部附属病院, 副薬剤部長 (20793540)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ボリコナゾール / 皮膚障害 / PD-VNO / 酸化ストレスマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度は、ケラチノサイトを用いたVRCZ、VNO、P-VNOおよびPD-VNO添加による細胞障害性についての検証を進めた。前年までの課題は、P-VNOを想定した産生条件下でPD-VNOが検出され、P-VNOとPD-VNOの細胞障害性の違いが判別できなかったことであった。そこで細胞実験の条件を下記の通り改めた。 正常ヒト表皮角化細胞(NHEKs) を、 HuMedia-KG2 (KG2) 培地を用いて96穴マイクロプレートに播種。NHEKsは濃度既知のVNOを含有するKB2培地に交換した後、UVB照射、熱処理の条件を設定し、P-VNOおよびPD-VNOの産生を想定した場合分けを行った。この熱処理条件設定の際に、前回までは熱処理しない群は常温下の条件であったが、これを氷冷上とすることによりP-VNOからPD-VNOへの変換を制御した。その後、それぞれに8J/cm2のUVAを曝露。なお、UVA未曝露群は、アルミ箔にてカバーすることで UVAを完全に遮蔽。UVA曝露後、33μg/mL neutral red (NR) 含有 KB2培地にて2時間培養した後、30%エタノール含有0.1 mol/L HCl溶液を用いてNRを抽出。細胞数の指標は、抽出液の吸光度を測定し、試験試未処理細胞(N.C.)を100とした場合の相対値で表した。結果としては、P-VNO産生を想定した条件においてやはりPD-VNOの産生が観測された。 本結果と構造式から、P-VNOは不安定な存在であり、実際の細胞障害性を検討する上ではPD-VNOが本質的な役割を果たしているものと位置づけた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
令和5年度の目標は、登録症例が目標数に到達するまで患者登録を継続し、患者情報、臨床検体を収集する。ケラチノサイトを用いたVRCZ、VNO、P-VNOおよびPD-VNO添加による細胞障害性について、P-VNOとPD-VNOを明確に分離し評価する。患者の血中VRCZ、VNO、P-VNOおよびPD-VNO濃度の測定を行う。患者の薬物代謝酵素の遺伝子解析(CYP2C19、CYP3A5、FMO3)、皮膚障害関連因子の測定を行う予定であった。 細胞実験は、P-VNOとPD-VNOは結局分離することができず、進捗したとは言い難い。また、患者検体に関連する解析が出来ていない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和年6度も、患者検体の収集継続とそれらの血中濃度測定、遺伝子解析を進める。 それと共に、細胞実験はPD-VNOのみに評価を絞り、細胞障害に対する濃度依存性の確認を進めていく。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた主な理由としては、研究の進捗の遅れにより、関連消耗品(限外濾過キット等)の購入を見送ったためである。 令和5年度では、上記物品を購入しなくとも研究計画に支障は生じなかった。また、出張を予定していたものも、コロナ禍の影響でオンライン対応となったことなども費用繰り越しの要因となっている。 今後の使用計画については、細胞実験を進めていく上で必要な経費に充当していく予定である。
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