2022 Fiscal Year Annual Research Report
Influx・effluxの統合的理解による新薬カボザンチニブ非感受性機序の解明
Project/Area Number |
20K16043
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
松本 准 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (60709012)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 腎細胞癌 / OATP2A1 / MATE1 / カボザンチニブ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、腎癌に対する新規分子標的薬カボザンチニブ(CAB)の非感受性メカニズムの解明を目指し、薬物取り込み・排泄トランスポーターに着目して研究を進めてきた。トランスポーターとしては、腎組織に高発現することが知られているOATP2A1(取り込み)およびMATE1(排泄)に着目した。 最終年度は、患者組織を用いた臨床的解析の総括に加え、本研究によって確立されたHPLC-UVによるCAB定量系を活用し、OATP2A1およびMATE1によるCABの輸送活性を解析した。患者組織を用いた解析においては、本研究期間全体として取得された全組織を解析し、腎癌組織におけるOATP2A1およびMATE1の発現が、患者予後に有意に相関することを明らかにした。一方で、OATP2A1もしくはMATE1を過剰発現させたHEK293細胞においてCABの取り込みを解析し、薬物動態学的パラメータを算出したところ、非過剰発現細胞と比較し大差は認められなかった。そこで、腎癌細胞における両トランスポーターの役割について考える上で、両トランスポーターの典型的な生体内基質で癌細胞を暴露させたところ、プロスタグランジンE2(OATP2A1の基質)が、癌細胞の遊走・浸潤能に影響を及ぼすことが示唆された。 本研究ではOATP2A1およびMATE1がCABの輸送には関与しないことが示唆されたが、その反面でこれらのトランスポーターの発現量は腎癌患者の予後と有意に相関していた。また、これらのトランスポーターの生体内基質が癌の進展に関与することを別途見出した。そのため、今後はOATP2A1やMATE1を含め、CABのみならず他の分子標的薬の感受性や患者予後に関わるトランスポーターを複数特定することで、腎癌患者に対する治療の個別適正化が推進されることが期待される。
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Research Products
(1 results)