2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of prediction method for drug-induced kidney injury using medical big data and machine learning
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20K16050
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
安部 賀央里 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 助教 (70440625)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 薬剤性腎障害 / 医療情報データベース / 有害事象自発報告データベース / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、有害事象自発報告データベースと病院情報システムの医療情報を活用し、機械学習を用いて患者の時系列データや医薬品の化学構造情報から、薬剤性腎障害の発症リスクの高い患者の予測ならびに原因薬剤を特定することを目的とした。 令和2年度は、PMDAによる医薬品副作用データベース(JADER)からICH国際医薬用語集(MedDRA)の標準検索式(SMQ)を使用して薬剤性腎障害を定義し、シグナル検出法として報告オッズ比であるReporting Odds Ratio(ROR)と報告件数を用いて薬剤性腎障害を発症する可能性が高い陽性医薬品と、発症しない陰性医薬品を抽出した。さらに、医薬品の化学構造情報である分子記述子から、機械学習のアルゴリズムとしてランダムフォレスト(RF)や勾配ブースティング木を用いて、薬剤性腎障害を発症する可能性が高い医薬品を判別するモデルを構築した。また複数のアルゴリズムを組み合わせたアンサンブル学習により予測性能が向上し、入れ子式の交差検証を用いてモデルの性能を評価したところ、判別モデルの予測性能の評価指標であるROC-AUCが0.8以上の高性能なモデルが構築できた。 薬剤性腎障害の原因薬剤として非ステロイド性抗炎症薬、抗腫瘍薬、抗菌薬、造影剤が挙げられているが、この他にも多種多様な医薬品が原因薬剤となり得るため、薬剤性腎障害を発症する医薬品候補を判別モデルにより特定することで、医療現場における副作用回避のための効率的かつ高度な支援手法となることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和2年度の計画では、有害事象自発報告データベースを用いて薬剤性腎障害に関する医薬品の情報抽出を実施し、予測モデルの構築を予定していたが、これらの計画は予定通り実施できた。加えて、病院情報システムの電子カルテ情報を利用するにあたり倫理審査委員会での審査に向けた準備も完了しており、本研究はおおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度に構築した薬剤性腎障害の原因薬剤を同定する予測モデルについて、FDAが運用している大規模な医薬品副作用データベースであるFAERSから作成した薬剤性腎障害に関する医薬品データセットについても、機械学習を用いて陽性医薬品と陰性医薬品を判別するモデルを構築する。 JADERやFAERSから抽出された薬剤性腎障害を発症する医薬品を対象として、名古屋市立大学病院の電子カルテ情報から対象医薬品が処方された患者データを抽出する作業を令和3年度に予定している。抽出した患者データについて診断基準を設け、薬剤性腎障害を発症した患者を特定し、薬剤性腎障害の予測に有用なリスク因子を患者データから探索する。
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Causes of Carryover |
今年度は予測モデル構築に関する種々の検討を行った。病院情報の大量データを扱う際に必要となる高度な処理や計算を行うハードウエア環境の準備は除外したため、次年度使用額が生じた。 次年度は、病院情報の電子カルテ情報を用いたデータハンドリング、データ解析を予定しているため、ビッグデータ処理の環境構築として使用する予定である。
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