2020 Fiscal Year Research-status Report
スギ花粉舌下免疫療法の奏効メカニズム解明と奏効性予測法の確立
Project/Area Number |
20K16054
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Research Institution | Teikyo Heisei University |
Principal Investigator |
栗坂 知里 帝京平成大学, 薬学部, 助教 (00846785)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 舌下免疫療法 / スギ花粉症 / EXiLE法 |
Outline of Annual Research Achievements |
国内の4人に1人がスギ花粉症といわれる現在、自宅で治療が可能なアレルゲン舌下免疫療法(SLIT)が新たな治療法として注目されている。しかし、治療を少なくとも2年以上毎日継続する必要があり、治療を行っても症状の改善が見られない場合もあることが問題となっている。本研究では、スギ花粉舌下免疫療法の治療早期における奏効性予測法の開発のほか、SLIT成立機序を明らかにすることを目的としている。令和二年度は奏効性予測法の確立のために、ヒトの高親和性IgE受容体(FcεRI)を発現させた培養マスト細胞株(RS-ATL8細胞)を用いたアレルギー試験法であるEXiLE法を改良し、より精度の高い測定を実施できるよう、条件検討を行った。 スギ花粉症患者のプール血清を用いて、スギ花粉抗原に対する応答性を評価したところ、細胞洗浄溶媒にPBSを使用する従来法からMEMを基本とする細胞培養培地(10%FBS含有)に変更した場合、測定値は約4倍高い値(Luminescence(CPS))が得られたが、変動係数(CV)に大きな差はみられなかった。次に、使用するウェルの配置およびウェル数の検討を行った。プレートのA列とB列の2ウェルを使った場合のCV値は0.103、B列とC列の2ウェルを使った場合は0.073と、前者の方がわずかに高く、標準偏差(SD)も大きかった。また同じプレート上で、2ウェルまたは3ウェル使用した場合を比較したところ、CVに差はみられなかった。このことから、A列を含めない配置で、かつ2~3ウェルずつの測定を行うことで、精度の高い結果が得られることが分かった。 今回の条件検討により、洗浄時に培地を使用することで、感度・精度とも上昇したことから、本研究における改良EXiLE法の洗浄では今後培地を使用することとした。また、検討を行う際はA列を使用せず、1検体につき2ウェルずつ用いて解析を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究では、架橋刺激に関与するIgEのみを検出できるin vitro試験法であるEXiLE法を用いている。本法では、マスト細胞(RS-ATL8細胞)にIgE抗体による感作を行うが、この際にSLIT実施患者の血清が必須となる。今年度は新型コロナウイルス感染症により、患者血清の入手に時間がかかり、また、従来使用していたプレート等の消耗品が入手困難であったため、新たに条件検討を行う必要が生じた。そのため、当初の予定どおりに検討が進まなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今回検討した改良EXiLE法を用いてシダトレンSLIT実施前後の血清について検討を行い、EXiLE法の結果と臨床症状との相関性を比較し、治療効果が評価可能であるか評価する。また、BAT法などのIgE依存性アレルギー試験結果と比較を行い、臨床症状を反映しているかどうかを検討する。
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Causes of Carryover |
今年度は新型コロナウイルス感染症により、患者血清の入手に時間がかかり、当初の予定どおりに検討が進まなかった。また、コロナ禍の対応により研究時間が大幅に減少し、従来使用していたプレート等の消耗品や試薬の欠品が相次ぎ、検討開始が遅れた。令和3年度は、改良EXiLE法を用いてSLIT患者血清について検討を行うため、プレート等の消耗品や試薬等に使用予定である。
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