2022 Fiscal Year Research-status Report
分子相互作用により溶解したカルメロースを用いた新規放出制御粒子の創製
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20K16058
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
伊藤 雅隆 東邦大学, 薬学部, 講師 (30792410)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 苦味マスキング / 溶出制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、医薬品原薬と添加物を混合し、凍結乾燥を行うことでマスキング粒子の調製を試みた。苦味を持つモデル医薬品としてアセトアミノフェン(APAP)を用いた。APAPは苦味閾値 が1.08w/v%であることが判明しており、水溶性であることから苦味マスキングの評価が容易であるため、口腔内で苦味を示す薬物モデルとして適切であると考えた。マスキング粒子を調製するための医薬品添加物 として、 CMCナノファイバーを用いた。 先行研究より、CMCの膨潤性がAPAPの苦味マスキングに有効であることが判明しており、CMCナノファイバー を用いることで親水性や安定性の上昇が見込まれ、より大きなマスキング効果を得られる可能性があったためである。 マスキング粒子はナノファイバー懸濁液にAPAPを溶解させ、減圧乾燥することで得た。調製したマスキング粒子は、口腔内における薬物溶出を模した簡易溶出試験、溶出試験、走査型電子顕微鏡(SEM)、粒度分布測定、粉末X線回折測定PXRDにより評価を行った。また、苦味マスキング効果が十分に認められた粒子は錠剤化し、溶出試験によりOD錠としての性能を評価した。 CMCナノファイバーとAPAPおよびメグルミンを水に分散させ、減圧乾燥させた固体試料においてAPAPと比較して簡易的な溶出試験において溶出性を69%抑制することができた。SEMで観察するとこの粒子の形状は薄い破片状であり、元のAPAPとは異なるものであった。通常の溶出試験では元のAPAPと同様の溶出挙動を示しており、吸収性への影響は軽微であると考えられる。しかし、OD錠とした際には溶出性が遅くなっており、F2関数は20.4となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CMCナノファイバーを用いた粒子は口腔内を模した環境でのAPAPの溶出性を低下させつつも、溶出試験ではAPAPと同様に溶出した。これは例えば顆粒剤のような剤形に対して適用することで苦味を抑制する技術となり得ると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はスプレードライヤを用いてナノファイバーを用いた検討を続けていく予定である。また、ナノファイバーと医薬品原薬を用いたオーダードミクスチャを調製し、溶出性を制御可能なものにしていくことも考えている。
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