2023 Fiscal Year Annual Research Report
分子相互作用により溶解したカルメロースを用いた新規放出制御粒子の創製
Project/Area Number |
20K16058
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
伊藤 雅隆 東邦大学, 薬学部, 講師 (30792410)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 苦味マスキング |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】OD錠は服用時に医薬品原薬が直接口腔内粘膜に触れ苦味を感じやすく, 苦味マスキングは服薬のコンプライアンス低下を防ぐために重要な課題である. カルボキシメチルセルロース(CMC)の膨潤性が苦味マスキングに有効であることは先行研究により判明している.また,ナノファイバー懸濁液を用いることで粒子の機能向上や工程の簡便化が期待できる.本研究では, スプレードライヤーを用いて医薬品原薬とCMCナノファイバーを懸濁させた溶液を噴霧乾燥することで苦味マスキング粒子の調製を試みた. 【方法】本研究では, モデル医薬品としてアセトアミノフェン(APAP)を利用し, CMCナノファイバーの水分散液に溶解させ, BUCHI Mini Spray Dryer B-290により噴霧乾燥した. 調製したマスキング粒子は, 口腔内における薬物溶出を模した簡易溶出試験, 溶出試験, 走査型電子顕微鏡(SEM), 粒度分布測定により評価を行った. 【結果】簡易溶出試験においてAPAPの放出を苦味閾値である1.08 mg/mL未満に抑制したマスキング粒子の調製に成功した. この試験において, CMC:APAP比1:1のマスキング粒子では溶出濃度を苦味閾値の58.3%に抑制可能であった. 調製したマスキング粒子を水に濡らした状態でSEM撮影を行い, 粒子が水に溶けて滑らかな膜を形成したことを確認した. 溶解時にこの膜が形成されたことで, 原薬の放出が抑制されたと考えられる. 溶出試験において, マスキング粒子の溶出挙動は対照としたAPAP製剤と類似していると判断された. 放出の抑制に成功したマスキング粒子について錠剤化を行い, 溶出性について検討したところ,溶出試験では崩壊性の低下により溶出率が下がった.OD錠の組成を変更し崩壊性を高めることでAPAPの溶出挙動に近づける可能性がある.
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