2022 Fiscal Year Annual Research Report
多孔性シリカにイオン液体を封入した粉末経鼻製剤による水溶性中分子の脳移行性の解析
Project/Area Number |
20K16059
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
鈴木 直人 日本大学, 薬学部, 講師 (60756005)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | イオン液体 / 経鼻投与 / 多孔性シリカ / 粉末化 / 鼻腔内滞留性 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は,これまでに水溶性中分子モデルであるイヌリンの経鼻投与による嗅球および脳移行性を改善したコリン-リンゴ酸イオン液体について,多孔性シリカへ封入することで形成する粉末製剤の調製条件の最適化ならびにキャラクリゼーションについて検討した. 粉末製剤はイオン液体と多孔性シリカを一定温度下で混合することにより調製する.そこで,室温から70℃において,多孔性シリカに封入されるイオン液体量を評価したところ,温度の増加に伴い封入可能なイオン液体量は増加した.これは,温度の増加によりイオン液体の粘度が低下したことで流動性が向上し,効率的に多孔性シリカの細孔内に封入されたことが示唆された.また,イオン液体の封入に適した多孔性シリカを選定するため,吸水量の異なる多孔性シリカに対するイオン液体の封入量の関連性について評価したところ,相関性を示すことが明らかとなった.また,一定量のイオン液体を多孔性シリカに封入し,流動性の指標である安息角を測定したところ,多孔性シリカ単体と比較して低い安息角を示したことから,イオン液体を封入した多孔性シリカは少なくとも多孔性シリカ単体より流動性が良好であることが示唆された.さらに,汎用経鼻投与デバイスによる噴霧性として,噴霧直後のデバイス内に残存した製剤量を残存率として評価した.その結果,イオン液体を封入した粉末製剤では,経鼻投与製剤に賦形剤として用いられる乳糖あるいは結晶セルロースと同程度の残存率を示した.このことより,本検討により設計したイオン液体封入多孔性シリカは,汎用経鼻投与デバイスによる噴霧が可能なことが明らかとなった.
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