2021 Fiscal Year Research-status Report
経腸栄養剤との併用における薬物血中濃度変化の解明:適正な投与指針の確立
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20K16061
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Research Institution | Osaka Ohtani University |
Principal Investigator |
浦嶋 庸子 大阪大谷大学, 薬学部, 講師 (90636309)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 経腸栄養剤 / カルバマゼピン / バルプロ酸 / レベチラセタム / 吸収低下 |
Outline of Annual Research Achievements |
カルバマゼピン(CBZ)、バルプロ酸(VPA)およびレベチラセタム(LEV)について、ラットに経口投与し、経腸栄養剤(F2α、ラコールNF、エンシュア・リキッド、リーナレンLP)との併用の有無による薬物血中動態の変化について比較した。 CBZと経腸栄養剤の同時投与において、2020年度に報告した研究結果を再検討し、追加実験や解析方法の変更を新たに実施したところ、エンシュア・リキッドがCBZの吸収低下を引き起こすことを明らかにした。この結果を論文化し、Int. J. Med. Sci. 2022; 19(5): 789-795 に掲載された。現在は、経腸栄養剤がCBZ吸収低下を引き起こした要因を明らかにするため、Caco-2細胞単層膜透過系を用いて、経腸栄養剤中の各成分がCBZの透過性に与える影響について検討している。 VPAと経腸栄養剤の同時投与においても、CBZ同様に2020年度に報告した研究結果を再検討し、追加実験や解析方法の変更を新たに実施した。その結果、VPA 100 mg/kgとリーナレンLPとの同時投与において、VPAの吸収低下が引き起こされるものの、VPA 80 mg/kgとの同時投与ではVPAの吸収は変化しないことを明らかにした。また、この吸収低下の機序としてVPAと経腸栄養剤に含まれるタンパク質(カゼイン、大豆タンパク)の結合を想定し、各タンパク質とVPAの結合率を限外濾過法を用いて測定したが、タンパク結合率は共に低値であり、VPA吸収低下の要因ではないことが示された。したがって、タンパク質以外がVPA吸収低下の要因である可能性を考え、現在は、糖質、繊維質との同時投与におけるVPAの血中濃度変化について検討している。 LEVと経腸栄養剤の同時投与においては、2020年度に確立したHPLCによる測定法を用い、現在ラットでの検討を実施中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り進展している。カルバマゼピン、バルプロ酸と経腸栄養剤の同時投与におよる血中濃度変化の検討は、2020年度の報告から更に追加検討を行い、概ね終了している。また、レベチラセタムについてもラットでの検討を実施中であり、2022年度内の完結を見込んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
カルバマゼピンについては、Caco-2細胞単層膜透過系を用いた検討を進める。バルプロ酸については、現在行っているラットでの検討を進め、得られた結果からCaco-2細胞単層膜透過系の実施が適切だと考えられる場合には、実施を検討する。レベチラセタムについては、現在実施中のラットを用いた検討を進める。
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Causes of Carryover |
購入予定の品に割引が適用され、次年度使用額が生じた。2022年度内に適切に使用する。
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Research Products
(2 results)