2023 Fiscal Year Annual Research Report
妊娠中の免疫抑制薬使用が妊娠経過・転帰および児の奇形・発育・発達に与える影響
Project/Area Number |
20K16070
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
野田 あおい 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 助教 (40835625)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 免疫抑制薬 / 妊娠 / レセプトデータ / 先天異常 |
Outline of Annual Research Achievements |
レセプトデータベースを用いて、妊娠中の免疫抑制薬の処方状況を調査した後、①シクロスポリン、タクロリムス水和物(TAC)、②ステロイド薬を使用した妊婦とその児を対象として、母親の妊娠転帰、児の出生1年後までに付与された大奇形(MCMs)を抽出し、妊娠中の免疫抑制薬処方との関連について評価した。 JMDCレセプトデータベースに含まれる女性のうち、誕生月と健康保険組合加入月が同月の児と連結可能な女性を抽出した。児の誕生月の前11か月間、同じ健康保険組合に在籍し、傷病名に含まれる妊娠週数が利用可能な母親のうち、妊娠前180日~出産後180日の期間、同じ健康保険組合に在籍する母児を評価対象集団とした。 妊娠前に免疫抑制薬が処方されていた妊婦は34人(10万人あたり10.0人)で、妊娠中では27人、妊娠初期から末期へと処方割合は減少していたが、出産後には38人と増加した。妊娠中のTACの処方は4例で、シクロスポリンが処方された2例はいずれも妊娠初期までに処方が中止された。妊娠中にTAC処方を受けた母親において高い早産割合が認められたが、本研究では妊娠中のシクロスポリン、TACの処方が原因と考えられるMCMsは認められなかった。妊娠初期にステロイド薬を処方された妊婦は2,739人であり、何らかのMCMsの傷病名が付与された児は173人(6.32 %)(オッズ比(OR)1.03, 95% 信頼区間(CI)0.88-1.20)であり、関連は認められなかったが、神経系18人(OR 1.99, CI 1.14-3.30)、生殖器系17人(OR 1.72, CI 1.00-2.95)、筋骨格系38人(OR 0.64, CI 0.46-0.90)において関連が認められた。最大・累積投与量が高い妊婦において、神経系のMCMsに有意な差が認められたが、症例数が少なかったため、さらなる検討が必要である。
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