2020 Fiscal Year Research-status Report
Evidence creation for pharmacotherapy of sialorrhea in intractable neurological diseases
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20K16072
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
石田 奈津子 金沢大学, 薬学系, 助教 (70794220)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 流涎 / 唾液 / 神経筋難病 / 脳性麻痺 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,難治性神経疾患患者の流涎治療の現状および流涎に対する影響因子を明らかにすること,調査で抽出された流涎治療候補薬の有効性および安全性を動物実験により比較することである。これにより難治性神経疾患患者の流涎に対する適切な薬物療法の確立することを目標としている。令和2年度は下記のように研究を遂行した。 1.多施設共同横断研究:共同研究機関3施設において難治性神経疾患患者の流涎に関する現状調査を実施した。調査対象者269名(52.5±20.6歳,男性:48.7%)のうち、流涎を認める患者は144名(53.5%)であり,脳性麻痺(流涎有:70.1%)は神経難病(同:42.6%)と比べ有意に流涎を呈する患者が多かった。多変量解析の結果,脳性麻痺では若年者,神経難病では嚥下機能低下者において流涎が現れやすいことが明らかになった。また,抗コリン作用の評価尺度であるACBスコアと流涎との間に関連は認められなかったが,脳性麻痺においてリスペリドンおよび中枢作用型筋弛緩薬(バクロフェン、チザニジン、エペリゾン)が流涎と負に関連しており,流涎を減少させる可能性がある薬剤として抽出された。一方,神経難病においてタルチレリンが流涎と正に関連していたため,流涎を増加させる可能性があることが示唆された。 2.薬効評価のための動物実験:動物実験の実験計画を作成し承認を得た。計画では,ラットを用いて,スワブで口内唾液を回収することにより唾液量測定を行うこととした。また,安全性評価として,抗コリン薬の唾液量以外への影響を把握するためにパルスオキシメーターを用いて心拍数測定を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和2年度に予定していた多施設共同横断研究を予定通り当年度中に終了することができた。同じく流涎に関連する薬剤を抽出するための有害事象自発報告データベースであるJADERを用いた解析は未だ実施できていないが準備は進んでおり,令和3年度には実施予定である。動物実験については令和3年度より開始できる準備が整ったことから,概ね予定通りの進行と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
①多施設共同横断研究のデータ解析の継続ならびに結果の学会発表や論文投稿を行う。 ②PMDAが公開しているJADERを用いて,「口渇」または「流涎,唾液過多」の報告オッズ比(ROR)を算出することにより,流涎に関連する薬剤を探索する。 ③院内製剤として流涎治療に使用されているスコポラミン軟膏について,ラットを用いた基礎実験により投与量や投与方法等について検討することで,適正使用法を探索する。 ④多施設共同横断研究やJADERの解析において流涎と関連が見られた薬剤について,ラットを用いて唾液量に対する影響を検討する。
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Causes of Carryover |
当初の予定では,スコポラミン軟膏の血中濃度をHPLCで測定予定であったが,HPLCの測定限界以下の濃度であることが想定されるため,測定機器をLC-MS/MSに変更することとした。次年度使用額はスコポラミン血中濃度測定のためのLC-MS/MS外注費用に充てる。 また,JADER解析のための統計ソフト購入にも使用予定である。
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