2021 Fiscal Year Research-status Report
Evidence creation for pharmacotherapy of sialorrhea in intractable neurological diseases
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20K16072
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
石田 奈津子 金沢大学, 薬学系, 助教 (70794220)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 流涎 / 唾液 / 神経筋難病 / 脳性麻痺 / スコポラミン軟膏 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,難治性神経疾患患者の流涎治療の現状および流涎に対する影響因子を明らかにすること,調査で抽出された流涎治療候補薬の有効性および安全性を動物実験により比較することである。これにより難治性神経疾患患者の流涎に対する適切な薬物療法の確立することを目標としている。令和3年度までに下記のように研究を遂行した。 ①流涎に対する影響因子検討のための多施設共同横断研究:共同研究機関3施設において難治性神経疾患患者の流涎に関する現状調査を実施した。調査対象者269名(脳性麻痺107名,神経筋難病名162名)において,脳性麻痺は神経筋難病と比べ有意に流涎を呈する患者が多かった。多変量解析の結果,脳性麻痺では「若年者」,神経筋難病では「嚥下機能低下者」において流涎が現れやすいことが明らかになった。また,脳性麻痺において「抗精神病薬」および「中枢作用型筋弛緩薬」が流涎と負に関連しており,流涎を減少させる可能性がある薬剤として抽出された。一方,神経筋難病において「タルチレリン」が流涎と正に関連おり,流涎を悪化させる可能性があることが示唆された。 ②スコポラミン軟膏に関する基礎的検討:流涎治療薬として臨床で使用されている院内製剤スコポラミン軟膏の適正使用法確立を目的として,まず流涎モデル動物を作成し,唾液量測定方法を確立した。現在,この流涎モデル動物を用いて,スコポラミン軟膏の貼付部位による薬効および薬物動態変動について検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では基礎・臨床両面から研究を行っている。臨床研究においては2020年度にデータ収集,本年度は解析を実施し,研究はほぼ終了している(現在論文投稿中)。 一方,基礎研究においては,流涎モデル動物作成に時間を要したが,薬効評価が可能なモデル動物を作成することが出来き,現在はスコポラミン軟膏の薬効評価を実施中である。また,今後実施予定であるLC-MS/MSによるスコポラミン濃度測定ついても実施の目途が立った。 上記のとおり基礎研究および臨床研究の進捗より,概ね予定通りの進行と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
①スコポラミン軟膏の貼付部位による薬効および薬物動態変動について検討を行う。また,現在臨床で用いられているスコポラミン軟膏は用量調整が難しいことが問題となっているため,患者に合わせて用量調整が可能となるように,濃度や塗布面積と薬効との関連についても検討を行う予定である。 ②臨床研究において流涎を悪化させる可能性のある薬剤として抽出された「タルチレリン」投与による唾液量変動について基礎研究を行う。
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Causes of Carryover |
当初の予定では,スコポラミン軟膏の血中濃度をHPLCで測定予定であったが,HPLCの測定限界以下の濃度であることが想定されるため,測定機器をLC-MS/MSに変更することとした。したがって,次年度使用額はスコポラミン濃度測定のためのLC-MS/MSによる測定費用に充てる。また,臨床研究にて流涎に影響を及ぼす薬剤として抽出されたタルチレリンは比較的高額な薬剤であるためその購入費用としても使用予定である。
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Research Products
(1 results)